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グリーンランドー地球最後の2日間ーのJIZEのレビュー・感想・評価

3.7
彗星の破片が隕石と化して地球へ衝突するまでの48時間を舞台に建築技師の能力をみこまれ政府によって地下シェルターが設備された"グリーンランド"への避難をめざすある一家の目線でその行方が描かれる。四方逃げ場所なし。名優ジェラルド・バトラー主演の世界滅亡系の新作だ。全編"劇的な目線"で丹念に無法地帯の様子が紡がれ、没入感がかなり深い映画である。おもに暴徒化する大衆や、降り注ぐ彗星の破片などディザスター要素をリアリズムに特化させた描き込みで主人公たちの行く先を次々と襲う。とくに溶解した彗星の破片描写は、うけたら即死確定で怖過ぎる。序盤の滑走路での主人公一家の息子の糖尿病のくだりは、母親の些細な言動で一家の行方が絶望に振り落とさる感じは現実思考でいてかなり痛ましい。世の中そんなに甘くない、人間の裏の顔の抽出が絶妙。後半のジャンル的な失速感はある。行く手を阻まれても尚打開策をとり家族を守る父親の有志や、人間の奥にある本質を導きだす。終幕のエンドロール手前まで近年のディザスター映画中でも震えるほど重厚な力作であった。
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