映画好きの柴犬

チィファの手紙の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

チィファの手紙(2018年製作の映画)
3.8
少女には夏が似合う

 姉チィナンが亡くなったことを知らせに、姉の同窓会に向かった妹チィファは姉に間違えられ、かつて想いを寄せたイン・チャンと文通をすることになる。

 岩井俊二監督が「ラストレター」と同じ原作を中国で撮影。こちらの方が先に撮られているので、「ラストレター」の方が流れが整理されてスムーズになっている感はあるが、ストーリーは基本的に同じ。大きく違うのは、「ラストレター」は緑多い夏が舞台になっているのに対し、本作はちょっとさびれた感の漂う冬が舞台になっている。結果、「ラストレター」は少女の瑞々しさと青春時代のノスタルジーが印象深いが、本作は現在の比重が重く死の影を強く感じる。

 女優陣(大人のチィファを演じたジョウ・シュン、少女のチィファ/娘のサーランを演じたチャン・ツィフォン、少女のチィナン/娘のムームーを演じたダン・アンシー)は、日本のキャストの負けず素晴らしかった。

 チィナンの遺言を読み上げるラストシーンは、過去と現在のチィナン・ムームー・チィファの思いが一つになる感じがして、本作の方がグッと来た。