ペンギン侍

泣きたい私は猫をかぶるのペンギン侍のレビュー・感想・評価

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
1.0
今流行ってるもの全部乗せしてみました!の二番煎じ映画。猫の恩返しのオマージュと思われてる殿方。はっきり言います、それどころではありません。

話題の声優をちょっくら集め、君の名はの美しい背景を意識。ジブリ好きが作った猫好きの女性たちを冒涜する映画です。みなさん、炭治郎の声が聞ければなんでもいいんですか?

・主人公をはじめ登場人物の人間関係の描写が浅くて、まったく感情移入できない。
・両親の再婚で複雑な家庭環境だけど明るく振る舞うワタシ、を表現したかったのだろう主人公の女の子がただの頭のおかしい女の子にしか見えずイライラ。
・猫を謳っているのに猫ワールドのシーンに行くのに時間かかりすぎ。
・ジブリが好きなんですか?ジブリのパクリ多すぎじゃありませんか?

元々映画として公開するつもりだったらしいですが、コロナの影響でネトフリ路線に変えたらしいですが、劇場公開されてたら明らかにもっとボコボコにされていたでしょう。カタルシスの微塵もありませんでした。

以下、ネタバレ含むかもしれませんが、なにとぞよろしくお願いします。

かわいい女の子なら少々の奇行でも許される、、ことはありません…。主人公の美代(あだ名はムゲ)はよくいえば天真爛漫。ありのままを述べれば「クラスにいたら距離を取りたくなるヤバいやつ」です。お目当ての男子、ヒノデくんに毎日おしりアタックを繰り出し、最初は嫌がられていたもののだんだん面倒くさい存在としてスルーされていきます。無限大謎人間(=通称ムゲ)と呼ばれています。

残念ながらこの主人公にまったく感情移入できません。タイトルが『泣きたい私は〜』とありますが、泣きたいほどの理由が劇中に見当たりませんでした。幼少期母が出ていき難しい年頃の思春期に再婚して新しい母ができる、のはたしかに苦労なことと思いますが、世の中もっとどうしようも無い状況はあります。でも、悲しみは人それぞれですので、ムゲにとってはめちゃくちゃ泣きたい理由なんだ…とおっしゃるのであれば、もっと描写を考えるべきです。それなりに新母とコミュニケーションをとり、父もいるし、寝るところもあるし学校にも通えてる。少々この部分がライトに感じました。

ムゲはヒノデという男の子のことが好きらしいのですが、劇中の接触時間が少なくなぜ惹かれたのかがまったくわかりませんでした。これも感情移入できない一つの理由です。毎日異常に絡んでくる変な女という枠を超えられません。

人間の姿ではないがしろに扱われるので、ムゲは猫になってヒノデに会いにいきます。あるときヒノデはムゲが猫に変身して俺んとこ来てたんかー!と気づくタイミングがくるのですが、ヒノデはこの奇妙な事実をすぐに受け入れます。は??????????です。正常な人間、猫に姿を変えてストーカーのようにまとわりつかれていたと知ったら…?ヒノデくんの感覚を疑います。ネタバレですが、毎日ケツアタックされたり、ムゲにつきまとわられて迷惑そうにしてたのにヒノデくんは最後ムゲのことが好きになります。は????

終盤のシーン。ムゲに仮面をわたし、ムゲを猫に変身させる動機となった猫店主と大乱闘するところ、なぜか助けに入ってくるのは、ついさっき数分バーで会った元人間の猫チーム。お前らにそんな絆あったんか????お前らに愛はあるんか???

ジブリみが強い件に関して。。。
・まず全体を通しての猫の恩返し感
・ヒノデくんの実家陶芸やってる=耳をすませばバイオリン職人み
・CV山寺宏一ふんする猫店主のビジュアルはまるでトトロ
・猫の世界の外観、ラピュタ感
・猫の世界の描写が千と千尋
・猫の世界から人間の世界に戻るシーン、ナウシカの金色の野でしかない

製作陣、ジブリ、、、好きなの????
ほかにも時をかける少女、君の名はなどヒットアニメを意識したシーンは多く見られました。

「お面をかぶると猫になる」という設定自体はすごくおもしろいものです。しかし、脚本や描写があまりにもお粗末。アニメ映画ですが、かの漫画家・服部昇大先生の『邦キチ!映子さん』で取り扱ってもらいたい作品です。

これ以外にもツッコミがたくさんあります。
しかし、ネットで評価をみたところ若い皆さんは感動している様子、、、。
私はアラサーです。心が汚れていたのかもしれません。端くれですがアニメ関連の仕事につく旦那とツッコミながら観て、すごく楽しめました。ありがとうございました。
ペンギン侍

ペンギン侍