あまみや

泣きたい私は猫をかぶるのあまみやのネタバレレビュー・内容・結末

泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

低評価レビューです。

やりたいことやテーマは伝わって来た。
Netflix資本で日本のアニメーション業界が活発になるなら素敵だと思う。
作画は豪華で文句なし。

脚本や構成は、正直拙い部分が多く感じた。
ひとつひとつ挙げていたらきりがないが、余計なシーンや、キャラクターの余剰な心情吐露、ご都合的な展開などが散見され、何度か視聴を止めそうになった。

また、タイトルの「猫を被る」というフレーズは、辛い現実を我慢して平静を装っている主人公と、実際に猫化の仮面を被って猫になることへのダブルミーニングなのだろうが、無限大謎人間とクラスメートから呼ばれるほどの奇行を繰り広げる主人公のキャラ設定と、「猫を被っている」という設定が結び付かず、若干ちぐはぐな印象を受けた。
辛い現実を誤魔化すために不思議ちゃんを演じているという設定なら「猫被ってるんだなぁ」と理解できるが、回想シーンを見るに、どうやら小学生時代からその性格のようなので、テーマと設定の結び付きが弱く感じる。

また、物語の大きな仕掛け部分の「猫になれる仮面」も、主人公にとって都合のいいアイテムでしかない。
代償としての寿命と、人に戻れないかもしれないというリスクも、猫の世界にいる元人間の猫たちが割と元気に楽しそうに生活しているシーンがあるため、深刻さを欠いており、デメリット感が薄い。
物語的推進力が弱く、また主人公を甘やかしている印象の方が強くて、この大きな仕掛けに全然ノれなかった。

猫化時の、好きな男の子のプライベートを覗き見るという行為はとてもストーカー的で、物語の中で必ず断罪されるべきだった。
しかし、そのことについても特にお咎めなしどころか、相手の男の子も受け入れている様子で、これはそういうカップルのプレイを見せられているのか…?という居心地の悪ささえ感じた。

また、きなことの入れ替わりエピソードも、伏線が非常に薄い上、視聴者へのルール説明も後出しだったため、とってつけたような印象だった。

結局細々指摘してしまったが、雰囲気などは悪くない場面もあり、それだけに色々と惜しい作品。
ヨルシカの楽曲を使った予告編は、とてもエモーショナルで良作の予感がしただけに、本当に残念。
あまみや

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