mikanmcs

コレクティブ 国家の嘘のmikanmcsのレビュー・感想・評価

コレクティブ 国家の嘘(2019年製作の映画)
3.5
観ようと思って忘れていた作品を見逃し鑑賞。ルーマニアのクラブ火災に端を発した医療腐敗のドキュメンタリー。利益のために薄められた殺菌液を出荷する医療メーカー。それを更に極端に薄めて使い、院内感染を引き起こし大量の死者を出す大病院。政治マフィアと繋がり、賄賂と蓄財に走る病院理事長たち。既得権益層を弁護する市長。。。まあここまで次々と、、と思うくらいの不正のオンパレード。

これらの不正を暴いたのは大新聞ではなくスポーツ新聞の独自取材班。日本で言えば「文春」みたいな立ち位置かな。彼らのマスコミとしての矜持=国民の側に立ち、権力を監視する姿勢には感銘を受けました。(翻って日本のマスコミは、、、と言いたいのはグッとこらえつつ)マスコミの追及と市民のサポートを得て、保険省の新任大臣も事態の改善に動き出します。執務室で大臣の取り巻き官僚が「できない理由」ばかりを滔々と並べ立てる姿は醜悪。それにしてもこの映画、よくこんなところまで撮ってましたね。どういう企画で始まったのだろう。

どんなにひどい状況であっても一切認めず、きちんとした調査もせず「何の問題もない」「医療は適切に行われた」「我々の仕事は国民の健康を守ること」と紋切型の回答を繰り返すことで既得権益層の利権を守り、やり過ごしてきた政府と、(無知ゆえにか)それを許し、放置してきた国民。日本でも「原発」「オリンピック」「万博」など、「(結論ありきで)丁寧に説明する」構図が至る所にありますね。映画の最後で、結局選挙で守旧派が大勝して医療改革がとん挫するところもそっくり。現実はキビシイ。

みんな、選挙行かんとね。
mikanmcs

mikanmcs