コレクティブ 国家の嘘の作品情報・感想・評価

「コレクティブ 国家の嘘」に投稿された感想・評価

taisan

taisanの感想・評価

4.1

このレビューはネタバレを含みます

すごい。本当にドキュメンタリーなのか疑いたくなってしまったほどに、撮れている。絶望感。エンディングの唐突な終わり方もよかった。
欲を言うならば、守旧派にもインタビューし、既得権益で甘い汁を吸っていた側に、悪いなりにも「それでも存在する理由」や「不都合な真実」を語らせ、彼らの論理や彼らなりの正義がどこにあるのかも見せてくれれば、より絶望的に描けたのかもしれないと頭をよぎったが、どうだろう。

そんなものは要らない(無い方が絶望的?)のか。
『トトと二人の姉』に続いて「なんでこれ撮れるの、フィクションシーンじゃないの??」というショットとシチュエーションが連続するアレクサンダー・ナナウのスタイル。後半、保健省トップの中に入り、批判・非難を一手に受けて苦笑する若手大臣の姿を映すあたりで観客の認識がぐっと立体的になる。
それにしても、「医療管理ができていなかった、できているといったのは嘘だった」と宣言できる大臣が一人でもいる事実に、素朴なうらやましさを抱いてしまった。
日曜劇場みたいな展開❗

知らなかった…💦
ルーマニアの政府と医療がこんなに腐敗しているとは…。
こんな腐敗しているのに選挙の投票率が日本より低い💦
この作品の中では相当切迫している様に感じたのだが、実際はそうでも無い様に感じるのがまた怖い💦
そう遠くない日本を見ている様だと…。

話は変わって、実はドキュメンタリー作品が苦手だ。
あたかもコレが真実です!と掲示してくるモノが多いからです。
カメラを通して編集したモノが真実❓
そこに疑問を感じるからです。
本当の真実とは、実際その場で体験した者しかわからない事じゃないの❓と。
その点この作品は、ドキュメンタリーというジャンルでありながらドラマチックな事が次々と起こる。面白い❗と、不謹慎ながら思ってしまう。まさに、日曜劇場みたいな展開にウソだろ?と。
もう一つウソだろ?と思った所がある。
新しく保健相が就任するやいなや、カメラがこのヴォイクレスクに密着する所。
普通オフレコだろうと思われる裏の会話がしっかり撮影されている事に驚いた。
この部分が、まさにエンタメの要素てんこ盛り❗
不謹慎だが、編集の仕方や展開にエンタメの要素を多いに感じられる作品だと。
面白かった❗
Aya

Ayaの感想・評価

3.6
#twcn

私の知ってるルーマニア人はセバスチャン・スタンとエヴァ・イオネスコ。

医療人の端くれとしていろいろ考えましたね。

てか火事のシーンめっちゃ怖かった。
ひん剥いた目ん玉が瞼に隠れるまでめちゃくちゃ時間と力が必要だった。

ルーマニア語&英語って書いてあったけど私がわかった英語は"Don't give a fu○k!!"(知るかクソが!)だけでしたw

この映画はルーマニアの医療と政治の汚職関係を軸に地元メディアと志ある1人の大臣を追ったドキュメンタリーです。

きっかけはライブハウス「コレクティブ」で起きた火災事故。
この事故で27人が亡くなった。
そして事故から生還し怪我の治療にあたっていた被害者がさらに37人亡くなった。

???

本来であれば治療を施され回復へ向かうはずの被害者がなぜ当日の火災以上に病院で亡くなったのか?

被害者の身体からは細菌やウィルスが検出され収容された病院にて院内感染が発覚。
火傷はその跡に細菌が繁殖しやすく、感染症の可能性は十分あり得る。

しかし亡くなった被害者の数が異常だ。

調べてみるとある製薬会社の消毒液が10倍に薄められていることが発覚。
え、それもう飲めるんじゃ…。

政府によりその消毒液がルーマニア全土に供給されほとんどの病院、オペ室や感染病棟などで使用されている。

なぜ?

どうやら病院の院長(Dr,が多いよね)と理事長(Ns.が多いよね)が医療分野に投入された予算を横領していた。
それも相当額。

しかし自分は医療精度の高いスイスへ治療に行く。
スイスは尊厳死あるからね。

病院、政治家との金を介した汚職を暴いた地元スポーツ誌は英雄視され大臣を辞職に追い込むまでに。

新しく就任した大臣は元Dr.の若き政治家。
地元誌のジャーナリストや、メディアに集まってくる告発者の、そして「コレクティブ火災事件」の被害者の声を聞く。

志を持ち、医療の本来の役割である「人を救う」ために汚職や認可の不確かな医療機関へ切り込みをいれようとするが、Dr.や告発者、政治家や認可局etc...様々な人から汚職の証言を得るもののいざ表沙汰にし、システムに切り込みをいれようとすると、さっき言ってたことをひっくり返され協力が得られない。

市長には断罪され近しい仲間や正しい人の証言はあるものの、みなリスクを鑑み正式な場所での公表は拒まれる。
おまけにメディアの記者には諜報機関からの脅しまでくる始末。

メディアは市民の生活を守るために断罪するのも仕事のうち。

なんか途中で告発した人も「志とかじゃなくて自分のためでしょ」とか言われたり、医療人が声を上げないってすごく不思議なんです私。

私は医療事務なので保険診療の計算をしたり公費の請求をしたり病院としての施設基準の指標を作成したり、とかお金のことをだいたい考えてるんですねw

そんな私ですら、呼吸器科のない病院で肺移植はむりだろ〜とか(でも循環器のDr.いればなんとかなりそう)、消毒液の件とか熱傷の治療や感染対策とかそのくらいは私でもわかるぜ・・・恐ろしい!

患者の健康や怪我の治癒のために働くのは決して難しいことではないんです。
日本では…。

若くてハンサムな大臣は汚職を断ち切り正しい医療を市民に提供するのが仕事。
しかし近く選挙戦。

大臣本人はシニカルな人柄で任期は次の選挙戦までの6ヶ月だと思っている。
もちろん全力で仕事に取り組むが思った異常に根は深く、行われた政党選挙でも惨敗。

てか投票率低すぎじゃない?!20代で5%、30代で10%。
諦めが数字に現れる。
しかし勝った汚職政党公民に対しての減税と医療従事者に対しての税金全免除を掲げわかりやすく金で票を買う。

信じられない、といった家族やメディア。
大臣は予想はしていたが、自分のやったことは少しでも意味があったかな?と寂しそうな表情を見せる。

そしてラストは原点に立ち返り無音のEDにハッとする。

それにしてもルーマニア、女性の記者やジャーナリストが多いよね〜。

あの会議室の外に置く録音中のスマホは何のためあのかすごーく気になった。


日本語字幕:額賀 深雪
snow

snowの感想・評価

4.5
今まで見た中で1番心を動かされた映画かもしれない…色々な意味で…

見始め、ルーマニアの医療体制そのものが崩壊している事実に対しては「こんな状況なのか、酷いな」とどこか他人事のような気持ちも湧くが、
映画が進み、新大臣が医療体制自体、そして政治・社会を変えようとしてもそれが簡単にできない“現実”が描写されると、国の違いを超え、まさに今自分が生きている社会そのものを見ているのだなと、絶望的な気持ちになった。

ヴォイクレスク大臣が医療行政をなんとかしようと試行錯誤する裏側とその報道のされ方がありのままに描かれていく辺りからとにかく引き込まれていった気がする。

選挙の開票がテレビで流れるシーンは先日の衆院選を思い出したりも…

政治の世界において、不正や汚職などが横行している事実があるにも関わらず、それが無くならないのは、もちろん見えないところで莫大なお金が動いているからというのはあるが、
根本的に政治に対する信頼や関心を失ってしまった国民、情報の正しさを判断する力のない国民が多いとのも一つ理由としてあるように感じた。

トロンタンのジャーナリスト達の姿は今の日本のマスコミには見えない“責め”があって「いいぞ」と応援しつつ見ていたが、
ヴォイクレスク大臣という実際に医療政治の舵をとれる立場に立った人でさえ現状を変えることができないのだから、マスコミという“情報を伝える”立場では出来ることに限りがあるのだろうとその限界も感じた。

今、自分にできることはあるのだろうかと
考えてもただただ無力感を感じてしまう。

映像編集には一般大衆受けするような「わかりやすさ」「冒頭からの引き」はないが、見れば見るほど引き込まれ、突きつけられる現実に圧倒的絶望感を感じさせられる…とにかく力のある作品だった。
国家ぐるみの隠蔽体質も、それでも選挙で圧勝する与党も。よその国の話には全く思えず。
湯呑

湯呑の感想・評価

4.7
国家の不正を暴こうとする記者たちの姿を描いた映画、というのは『大統領の陰謀』とか昔から色々とあって、最近では『ペンタゴン・ペーパーズ』や『記者たち~衝撃と畏怖の真実~』といった秀作が記憶に新しい。これらの作品に共通しているのは史実をもとにした劇映画として作られている、という事だ。ところが、本作は純粋なドキュメンタリーなのである。しかも、事件が決着した後に関係者の証言やニュース映像を構成して作られた訳ではなく、新聞記者が政府の不正を追い、新しく就任した保険大臣が医療制度の改革を行おうとする姿を完全にリアルタイムで追っているのだ。これには驚いた。既得権益を守る法の壁にぶち当たり懊悩する保険大臣や、医療行政の歪んだ実態を知り憤る記者の姿など、本作からは騒動の渦中にいる人々の生々しい息づかいが伝わってくる。しかも、カメラを回している時点では、事態がどの様な結果を迎えるのか全く分かっていないので、スクリーンを見つめる我々も事の成り行きを息を呑んで見守るしかない。この様に、対象を事後的に「総括」するのではなく、同時並行的に「観察」していくからこそ生じるサスペンス性は、フレデリック・ワイズマンや原一男の手法に近いのかもしれない。監督を務めたアレクサンダー・ナナウが取材対象に信頼されていた、という事なのだろうが、日本だったらここまで何もかもオープンに見せてくれる、というのはあり得なかった気がする。
事の発端は、2015年10月30日に起きた、ルーマニアの首都ブカレストにあるライブハウス「コレクティブ」での火災事故である。「コレクティブ」には非常口が設けられておらず、観客の避難が遅れて27人が死亡、180人が負傷を負う大惨事となった(この火災の模様をスマートフォンで撮影した映像が劇中でも挿入される)。非常口の無い建物に営業許可を出していた事に国民からの批判が集まり、政府の責任を追及する市民デモが広がった結果、ヴィクトル・ポンタを首相とする政権は退陣するに至った。しかし、事件はそこで終わらない。
重度の火傷を負った人々はルーマニア国内の火災医療病院に運び込まれたものの、その内37名が入院中に死亡したのだ。中には一命こそ取りとめたものの、手足を切断しなくてはならない程の障害を負った者までいた。入院先で死亡した37名の死因は火傷ではなく、院内感染による感染症だったのである。大規模な院内感染が発生した原因は、製薬会社が納入していた消毒液の濃度が意図的に薄められていた為だった。なぜ、そんな不正がまかり通っていたのか、病院側も不審に思わなかったのか、そもそも明らかにキャパシティを超えた火傷患者を受け入れたにもかかわらず、なぜ国外病院への移送を積極的に行わなかったのか。記者たちの取材により、製薬会社と病院、そして医療行政が汚職まみれのずぶずぶの関係にあった事が明るみになっていく。チャウシェスク独裁体制から民主化を果たした筈のルーマニアだが、劇中である人物が吐露する様に、その政治体制は芯から腐り切っていたのだ。
そんな中で唯一、火災被害者が病院で死んでいく理由を調査し報道するメディア「トロンタン」の記者たちと、医療行政の不備を正そうとする新任の保険大臣ヴォイクレスクの真摯な姿だけが、観客にとっては救いとなるだろう。しかし、正しさだけでは勝つ事ができないのが政治の世界である。本作が迎える結末は私たちに、民主主義とはいったい何なのか、国家と国民のあるべき関係とはどの様なものなのか、という根源的な問いを突き付ける。結局、人々は自分に影響の及ばない範囲でしか正義など求めていないのだ。選挙なんて結局、10万円とかいうはした金で国民を釣ろうとする詐欺師と、そいつらに投票して何かを成し遂げたつもりでいる馬鹿がやってるクソイベントなんだよ!そんなもんで世の中が変わると思ったら大間違いだ!そんなにクーポン券を配りたいんならプリントゴッコか何かでお前が刷ればいいだろ!2016年のルーマニアの姿を描いたこの映画は、どこの国でも馬鹿には理屈が通じない、という残酷な事実を教えてくれる。
ぺん

ぺんの感想・評価

4.4
社会主義の独裁政権を倒し民主化を成し遂げたルーマニア。
それから30年、未だ子どもの貧困率は世界でも上位に位置し、今も様々なしこりが残っているんだろうことは聞き齧っていたものの…
ある火災事故から発覚した大病院の不正、国家絡みの汚職や嘘。
スポーツ紙のジャーナリストがその追求に乗り出し、信じられないような闇が次々と明るみに出てくる。

保健省の前大臣が辞任して新たな大臣が就任する。
彼は被害者たちとも会談を設け、腐敗を正そうと奮闘し、そこに取材陣も密着する。
真摯で優秀な政治家だろうとも、しかし国家を揺るがすパワーに一歩及ばない現実がのし掛かる。

多くの犠牲者が出てまだ追いきれない真実も隠されている。
たくさんの人が正しいことをして欲しいと願っているのになかなか実らない。
それは驚くほどの投票率の低さにも表れている。政治への無関心や不信感が顕著。
日本だってそう、明かされない政治の負の部分を抱えているのも国民の無関心さも。
テンポよく鑑賞でき我が身も省みたくなる。
重たい現実は続くけれど、ロボットアームで失われた手の機能を取り戻そうとする女性は希望を感じさせる。

元々のライブハウス火災も問題だのにそっち関係はほぼ触れられていないのは気になった。
まぁそこまで広げたら話が散らばりすぎちゃうかな。
carrot

carrotの感想・評価

-
驚愕の事実。
だが、大きかれ小さかれ、どこの国にもこのような国家犯罪はあるのだろう。
問題は、国民がそれを暴き追求できるか。
なごみ

なごみの感想・評価

3.5
ルーマニアのクラブ“コレクティブ”で発生した火災を機に判明する医療と政府の癒着、汚職事件を追ったドキュメンタリー。

ドキュメンタリーとはいえ、最初にライブハウスの出火シーンがそのまま流れるとは思っていなかった。
演出じゃないと呼び掛けるステージ上の歌手、火をあげて崩れるステージ上部。そして逃げ惑う人々。リアルを撮されていて、釘付けになった。

正しいことを民意は支持する。
けれど、民意がそのまま政治に、選挙には現れないという、へたなホラーよりも恐ろしい物語だった。

ラストはスパッとほぼ無音のエンドロールに入るものの、無音に近いからこそ、物語を頭のなかで反芻してしまった。

強いてあげるならですが、やはり冒頭のライブハウス。これをきっかけに政府と医療業界の癒着に話は発展していくのですが、それはそれとして、ライブハウスの炎上はライブハウスの責任だよな...と思ったり。特にライブハウス関係者の出演はなく。
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