チャップリンの作品が大好きだった少年時代。
特に、「モダンタイムス」や「キッド」は風刺を入れつつも、人間らしいユーモアが所狭しに描かれている。
しかし、この「ライムライト」だけは、少年時代ハマらなかった。
その理由はおそらく、チャップリンの素顔(長編映画では初めて素顔で出演)、長尺、老いた姿、そして有声映画だからだろう・・・
しかし、大人になって改めて見ると、
老いていく過程で宿る夢、これまでのチャップリン作品の集大成、
そういったモノが大きく伝わってきた。
∑英国一と言われた道化師の男、しかし年を老いてからは、酒浸りの落ちぶれたスターに。
ある日男は、自殺未遂で意識を失った踊り子を助けることになり・・・
“ライムライト”とは、昔の舞台照明の意味。
スポットライトが当たらなくなった舞台役者の男と、踊り子の愛の物語。
再びの夢を取り戻すため、老いた男は若き女に夢の偉大さと儚さを教え、
若き女は老いた男に、夢の可能性と無限に広がる夢を思い出させようとする。
メッセージが重く伝わる名作で、名曲『テリーのテーマ』が涙を誘ってくれます。
チャップリンはこのような言葉を遺しています。
「Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot. 」
“人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。”と・・・
この言葉通りの映画です。そして、ぼくはこの言葉が今も胸に大きく焼きついています。