ふうま

ライムライトのふうまのレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
4.7
チャップリン4作目。今まででチャップリンは3作しか見てないが、それでもこれがチャップリンの集大成、総括だとわかる。
カルヴェロとチャップリンはリンクしているし、カルヴェロの口から出る言葉、テリーを励ます言葉はチャップリンの人生の教訓のよう。映画通してカルヴェロの盛者必衰の物語を感じる。だが、カルヴェロの芸が全く衰えていない。顔の演技や動き、芸の細かさとか本当にすごい。洗練されている。カルヴェロの芸から感じるベテランの技術を演じられるチャップリンの凄まじさ。だが、その芸の終わりに誰もいない観客を映す、この喜劇と悲劇の表裏一体さ。芸の探究という終わりのない戦い。ベテランとゆわれたカルヴェロが、芸人にベテランはいない。皆素人。私は古い素人です。と言ったのが心に残った。観客は集団になると怪物、という言葉が残酷だった。テリーの成功とそれを喜ぶが、落ちぶれているカルヴェロの対比が本当に切ない。
テリーが田舎で2人で暮らそうと誘うのに対して、本当に死ぬ寸前まで舞台に立ち、死ぬ間際にはテリーに、2人で世界を回ろうと言う。ここにカルヴェロの、チャップリンの、人生を芸に捧げた、人生はdesireだという言葉を表しているんだと感じました。
凄かった。チャップリンの他の映画を見れば見るほど良さが増すだろう。成熟したチャップリンの芸がキレキレなんだけど、昔のようなコミカルに動き回るのではない事に、切なさを感じる。
ふうま

ふうま