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レリック ー遺物ーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)
1.7
メルボルンに住む中年女性ケイが、フリーターの娘サムを伴って田舎町クレズウィックにやってきた。ここの一軒家に1人で暮らす老母エドナが1週間前から姿を見せないと警察から連絡を受けたためだ。家の中はかなり散らかっていて、あちこちに「薬を飲むこと」や「水道の栓をしめる」と書かれたメモが貼ってある。しばらく会っていない間に母は認知症になってしまったのか、と不安になるケイ。近くの森などを警察と捜索するケイとサムだが、徘徊してしまったらしいエドナの姿は見つからなかった。ところが2日後、朝起きたケイの前に、いきなりエドナが現れた。身体に全く異常は無いようだが、何日もの間、どこに行っていたのかは答えられないようだ。何者かが家に侵入している…などと被害妄想も口にするエドナを見て、ケイは母の認知症を確信。施設に入れる決意をする。一方サムは、祖母の施設行に反対して、自分がここに引っ越して面倒を見ようと考えていた。だが、数日この家で暮らすうち、異変が祖母の言動だけではなく、家全体に起きていることに気付き始めるのだった…


「レリック-遺物-」

以下、本年度No.1ネタバレと全世界絶賛!


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うーむ…

これ、ちょっと解釈が難しい映画だったなぁ…


最初は、「ホラーの殻を被った医療映画」だと思ったんですよ。「震える舌」的な。純粋に認知症をホラー演出で見せた映画なのかと。でも、サムの迷路やステンドグラスの黒いシミから考えると、やはりオカルト→心霊が絡んでいるのは間違いなさそうです。となると、その心霊の正体は何か?という問題にぶち当たるんですが、まぁ俺の解釈は、以下2つのどちらかということになります。



A. 「孤独」が引き金になって相手にとり憑く、あの家伝統の霊

B. 死んだ認知症の曽祖父が、霊となってステンドグラスを介して家に住んでいる者にとり憑いた

…Aの場合、ケイと疎遠となり認知症を発症したことで、とり憑いた霊があの炭化という最終形態まで導いた、というロジック。エドナ亡きあとは、ケイに移動するのは間違い無いでしょう。

…Bの場合、そもそも認知症なのは曽祖父の霊なので、孫であるケイと曽孫であるサムを間違えたりしたのかも。ケイにとり憑いたら、すぐに認知症状が出て若年性アルツハイマーと診断されるかも。


まぁ、どちらでもいいし、そもそも見当違いかも知れないんだけど、こんなロジックを考えていたら、映画そのものは全く怖くなくなるというデメリットが(笑)。何も疑問疑念を挟まずに観るのが1番ですわな。

「認知症ホラー」というカテゴリでは、既にシャマランの「ヴィジット」があるし、他にもありそうだけど、本作の特徴は、主人公母娘が対峙する得体の知れない何かに対して戦うとか逃げるという方向に向かわず「寄り添う」という選択を見せた点。なんかJホラーっぽいなぁと思ったら、監督さんは日本人の血が入っていて、疎遠だった日本の祖母に再会した時に認知症だったのにショックを受けたという体験を基にしていると知り、なぁるほどと納得した次第。老齢の親がいる人には正直素直に楽しめる映画じゃないけど、直接的ゴア描写もなくゾッとさせる手腕はある監督だと思うので、ぜひ。
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