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レリック ー遺物ーのヒムロのレビュー・感想・評価

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)
3.4
母エドナが行方不明になり、捜索願いを出して探す娘のケイ。
ケイの娘であるサムや隣人の助けを借りながら捜索していたある日、裸足で泥だらけのエドナが帰ってくる。
しかしエドナは重度の認知症を患っているようで会話も成り立たない。
老人ホームに預けるか、一緒に暮らすかで揉めるケイとサムの側で、エドナはエドナでなくなっていく…。


老人系ホラーは最近少しトレンドになりつつあるが、その中でもかなり面白かった。
ただホラーとして怖かったかと言われると少し微妙。

認知症を発症したエドナが認知症かと思いきやなんかヤバい存在になってた。的な感じのホラーなのだが、なんでそうなったかの理由が分からない。
悪魔だったり悪霊だったり何かしら明確な理由がある事が普通だと思うのだが、本作にはそれがない。
カビという表現はありつつ、おかしくなった理由そのものが認知症なのだ。
これは正に「正体不明の敵」に変身したエドナというのは、「認知症を患った親族」のメタファーなのだと思う。
だからこそ明確な原因は存在しない。
いや認知症が原因そのものなのだ。

本作はそういった認知症の老人親族との付き合い方や、それを支えなければならない家族の苦しみや葛藤をホラーという構図に落とし込みつつ見事に描いている。
非常に強く、そして明確だがきちんと話として成立させていてストレートすぎずいいメッセージ性の度合いだった。

難点があるとすればやっぱりそんなに怖くないかなというところ。
どっちかといえばこの映画を見ていると「少子高齢化問題のが現実だし怖い」と思ってしまう。
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