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RUN/ランのsonozyのレビュー・感想・評価

RUN/ラン(2020年製作の映画)
3.5
『search/サーチ』のアニーシュ・チャガンティ監督によるサイコスリラー。
シングルマザーであるダイアンの、17歳の娘クロエへの倒錯した過保護愛の物語。(英語字幕にて)

分娩室で出産したダイアンの赤ちゃんは、不整脈・喘息・糖尿病・足の麻痺などを抱えた未熟児だった。というオープニング。

17年後。ダイアンはその娘クロエを、17年間自宅で育てており、車椅子生活のクロエはダイアンの指示通り、規定の薬を飲み、血糖値を図り、物理学などを自習したり、電子工作をしたりしているが、パソコンやスマホは使わせてもらえない。

ダイアンは食材の買い物とクロエの薬の入手に出かけるのと、家庭菜園の手入れをワイン片手にする以外は、ほぼクロエと共に過ごしている。

完全にダイアンの管理下にあるクロエは、大学願書の結果が届くのを楽しみに待っていて、郵便配達の車が来ると車椅子で急いで取りに向かうが、必ず先に母が取り、届いたらすぐ教えるからと言われてしまう。

ある日、母が買い物してきた紙袋から制限されている菓子を抜き取ろうとしたクロエは、いつも服用している緑のカプセル薬の容器を見つけるが、それにはなぜか母ダイアンの名が記されていた。

疑問を母にぶつけたものの、何やらはぐらかされてしまい、不信感を持ったクロエは、その薬の名前を調べようと、母が寝たであろう夜、こっそりと書斎のパソコンでググろうとするが、ネットがつながらず、一旦諦める。

翌日、母が庭の菜園を手入れしているすきに固定電話を使ってなんとか調べようとするクロエ・・
ここから、サイコな事実が明らかになっていきます。

ダイアン役のサラ・ポールソン、ジワジワと怖さが滲み出てくるサイコキャラが似合いますねぇ。
クロエ役のキエラ・アレンは、本作でデビュー。実際に車椅子使用者だそうで、後半に向けて緊迫度が高まるリアリティ溢れる演技は名演でした。

クロエの部屋は2階で、食事や勉強などは1階のため階段に設置された電動昇降機で行き来する必要がある。
母の研究室的な部屋や倉庫は階段(昇降機なし)を降りた地下にある。
庭でトマトなどを栽培している家庭菜園は妙に本気度が高い。
といった場所の設定も効いてます。

タイトルの『RUN』は、車椅子生活で走れないクロエの心理(逃げたい!)でしょうね。
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