郊外の一軒家で母と二人で暮らす車椅子の少女クロエ。
彼女は生まれつき障害を持ちながらも、ワシントン大学を目指して勉強をするほど賢く、そして前向き。
しかしそんなある日、母ダイアンの名前の入った薬を見つける。
そしてその夜何故かその薬を飲まそうとしてくるダイアン。
どうして母へ処方された薬を飲まそうとしてくるのか、そしてこの薬は?母の目的は一体。
ざっくりいうと大学に出る娘を手放したくない毒親に軟禁されていた事がわかって逃げ出す話なのだが中々面白かった。
静かなシーンの使い方が上手く、サラ・ポールソン演じる母の一挙手一投足を見逃してはいけないと思える怖さがある。
特に薬について探るシーンでの静かな水面下でのお互いの思考が分かるかのような慎重な会話が特に良い。
ヒリつくほど恐ろしい。
障害があるということと、更に母親であることや女性であることなど、社会的にある種優遇を受けられる立場をフルに活かしてクロエを監禁しようとしてくるダイアンの執念の恐ろしさたるや。
「若い障害者の娘と男性の貴方が?警察はどう思うでしょうね?」とゲスの極み丸出しの脅しは最高にゲボ。
後半戦に入る前にはどデカいカミングアウトが飛び出して来て見えていた景色が更に180度変わるような怖さがあった。
スリラーとしてはイマイチなのかもしれないが、ラストは痛快の一言。
文字通り自立するために一歩を踏み出したクロエとは対照的に、階段を転げ落ちていくダイアン。
そしてお見舞いのシーン。
鮮やかすぎるオチだった。
痛快といえば中盤の「Mother Facker」発言もダブルミームで最高。
オシャレな脚本家だ。
ネタバレになるので深くは言えないが、シンプルなスリラー物の怖さに鮮やかな脚本、そして本筋を邪魔しない程度のメッセージ性が素晴らしかった。