たにし

ビバリウムのたにしのネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
1.9

このレビューはネタバレを含みます

(これは映画への見識が浅い上、あまりホラー映画を観たことが無い人間の感想です)

友人に勧められて観た。
個人的には過去最低レベルの映画という印象だった。私があまり好きではない、思想が先でそれを表現する場がたまたま映画だった作品、のようなイメージを持ってしまったのが悪い。公式がブラックユーモアだと説明している作品を良かったと感じたことがないので相性が悪かっただけという気もする。
ただ、この映画が私にとって苦痛だったのは、全体的に(托卵の描写や宇宙人要素など)伏線があからさますぎて、逆に警戒してしまった故のがっかり感というのが大きかったと思う。

私はこの映画を、「普通ではないことへの気味の悪さ」を恐怖の元としたホラー映画だと思って観ていたが(実際は消費主義へのユーモアがテーマらしい)、中盤のSF的な要素が全てを台無しにしていると思う。
序盤の「見た目は普通だが、成長が異様に早く行動が鳥っぽい子供」というところまではホラーの導入としてそれほど悪くなかったと思う。
しかし、中盤の宇宙言語?で書かれた説明書や謎のテレビ、爬虫類のように膨らむ喉という要素が、謎の子供の持っていた不気味さを全て打ち消してしまったように思う。
これを「日常へ紛れ込むエイリアンの恐怖」と捉えかえたとしても、作品のほとんどが異常な世界を舞台に進むのではインパクトに欠けるのではないか。
謎の子供もエイリアンだとわかればただの化物であり、母としての責任にとらわれる女性という中盤のテーマを弱くしてしまったように感じた。
ただ、この映画が欧米の作品であることを考えると、日本人がクトゥルフ神話作品での海産物への恐怖を理解しきれないことと同様、宇宙に関わるキリスト教的な思想が根底にあるのかもしれないとも思った。

全編を通して緩急に欠ける薄味な作品だという印象を受けた。どことなくオモチャのような雰囲気で撮られた映像は悪くないとも思ったが、ストーリーは構成要素が多すぎて訳のわからなくなりがちなファミコンのSFRPGのような話だなと思った。
たにし

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