このレビューはネタバレを含みます
・こういう構造を描きたかったって言うのはわかる(わかりやすすぎて、鑑賞前に予告編見て予想していたオチだった)
托卵のシステム、資本主義、家を買うということ。着想は面白いと思った。
・ただ、主人公たちの行動がそういう不条理の構造に負けすぎてて「え〜!!!」ってなる。
前半の家燃やして子供が出てくるまでのテンポの良さと、人としてその不条理に合理的に争ってるところまでのワクワク感が大きかったぶん、そこからの展開がすごく説明的に感じてしまった。
・家、もうちょっと後で燃やしても良かったんじゃない?
・セックスの後のジェマのトイレのカットの長回しとか、妊娠の暗喩かなと思ってたらそれも違うんか〜〜〜〜い。
托卵によって落ちて死んだ別種の鳥のヒナの比喩として人間の子供が扱われるんじゃないんか〜〜〜〜〜い!!!!
じゃあトイレの長回しなんだったんだ〜〜〜い!!!
けどオチは托卵なんか〜〜〜〜〜い!!!オイオイオ〜〜〜イ!!!
・失礼しました。
・いや、そもそもフィクションの世界なんだから理屈じゃないんだよってことなのか?
・じゃあせめてあの世界に争うふたりが見たかった。
・ミュータントチルドレンが本持ってきた時とか、とうとうこの世界の謎に迫る!って思ったらパラ見でおわり!?大ヒントだよ!!え!?読まないの!?ジェマまじ!?やだ〜〜!!東大王連れてきて〜!!!!ってなる、ジェマちゃん解読しようとして😢子が見てるテレビと照らし合わせて😢
・本の内容も「解読不可能!!お手上げ!!」ってわけでもなくて挿絵つきでわかりやすかったじゃん…。親切なくらいだったじゃん。あのぐらいの成長度のミュータントチルドレンにはパワーで勝てたわけだし、奪い取ってくれ。
・ていうかあの本なんだったんだろう。
教育書っぽかったからミュータントが昼間ジェマとトムの目につかない間にミュータント教育のためにあたえてた本?
与えられてたテレビにも最悪のEテレみたいなのしか映ってなかったのはそういうこと?あれ教育チャンネルだったの?
・結局主人公ふたりが根幹に近づこうとしないのはあの世界の秩序を説明したくないという意図での演出なのか?けどそれがここまでの主人公二人の行動理念と結びついてないように思えた。視聴者には妙に見せるし。
・ヒントを全部スルーして穴掘りし続けるトムはある意味人間らしい…けどそういう垣間見えるふたりの人間らしさと展開が結び付かない。
基本的にずっと主人公に感情移入して見てきた物語がこの辺から乖離していく。
・ジェマとトムの築いてきた絆(関係)が見える、トムが死ぬ前のふたりの会話はいいシーンだと思うんですよ。
なのに全然感情移入できない。
悲しいしやるせないね、とはなるのだけど。そんな最期に言われても…ともなる。ひどいシーンの方が見てるし…。
・「トムこれから死ぬよ〜!!」っていう結末を見せるための助走で言わせてるセリフのように見えてしまった。
視聴者に「悲しんでね」ってための助走。
死んだことないからわかんないけど。
ああやって言葉にしたくなるのかな。
・ていうかトムはいつから具合悪かったの…?ちゃんと言いな…?
・あんな世界で、先に死ぬよりも残される側のが絶対にキツい。体調悪かったなら言ってくれ。お前のためじゃない、ジェマのためにだよ!!!恋人の腕の中で死ねて良かったなお前は、とすら思ってしまった。ごめんトム。トムが1mmも悪くないことはわかってる。だけどお前は勝手だよ。穴を掘り続けて瀕死からの死、ディグダかよ。悔しいよ…。
・モノマネ大会。
子供が喉膨らんだのなんだったんですか…?
終始宇宙人?地底人…?伏線で最後に化け物になるのかと思ったらそんなことはなかった。
・ジェマとトム。
2人は子供への対応が明らかに違った。
異形のものとして扱うトムと、それでも母性を持って接するジェマ。
ラストでジェマは子供を殺そうとするけど、それすら愛をもってじゃなければできなかったと思う。殺すってめちゃめちゃカロリー使うし、少なからずジェマは子供を愛そうとしていたし。
ジェマと子供のふたりきりのシーンでは、トムとジェマとの間にあるのとはまた別の、ジェマと子供との関係が生まれていたはずじゃないですか。
「私はあなたの母親じゃない」と、否定しなかった、できなかった瞬間のジェマもいたじゃないですか…。
それを描いた上でのこのオチはつらい。愛には何の意味もなかったのかよ…。
・あとこれは割とどうでもいい疑問だけどあの世界では結局何日が経過していたの?赤ちゃんが98日で10歳くらいの見た目になってたから最終的に一年くらい?それにしては不動産屋のマーティンは老け過ぎているような。時間の流れが違うんだろうか。
・謎が多く残る終わり方は嫌いじゃないんだけど、今作はそれにしても登場人物の動きが納得できなかったので消化不良でした。
・グッときたシーンは
あの世界に閉じ込められて以降のシケモクをふかすトム。カーステレオから流れる音楽で踊るふたり。ジェマの最期の言葉。
・ビジュアルと、ミニマムなキャストと世界観の中でやりきってて、狭い世界の中での飽きさせないカメラワークやカット割は良かったです。
・子供の不気味さの演出も面白かった。声すごい。すごい怖かった。
おわり