フラワーメイノラカ

ビバリウムのフラワーメイノラカのレビュー・感想・評価

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.3
記号的なセットの中で流れる生き血。
これはサバイバルか、ミュータントの為の戯曲か。
郊外のアメリカをシュルレアリスムなタッチで描いた、モデルハウス・ムービー。
これが本当の『家族ゲーム』(1983)…?

マグリットやダリに影響を受けた、悪夢のような演出が楽しい。
アメリカを縮図的に描いているというよりは、ヨーロッパという箱庭の中でアメリカが変異種ーー或いは外来種ーーとして変化した、という感じなのかしら。

集合住宅地「Yonder」に閉じ込められた若いカップル。
彼らは自ずと、画一化された父親、母親の役割に当て込まれていく。
穴掘りは労働のメタファーなんだろうけど、結果的に自分たちの墓穴を掘っていただけ。皮肉が効いてる。

予告観た時はBeatlesの「Revolution 9」を、本編中はPixiesの「Dig for Fire」を思い出した。
MVも撮っていたという監督の音楽的なセンスを感じる。