てばさき

ビバリウムのてばさきのネタバレレビュー・内容・結末

ビバリウム(2019年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

不動産屋に新興住宅街へ案内されて新居を見学していたら、いつの間にか同じ形の家ばかり延々続く謎空間に閉じ込められてしまう若いカップルの話。
登場人物はカップルを含め4人くらい。
終始徹底してコピー&ペースト的に循環する景色の一角で、相手側の正体どころか姿かたちも具体的な目的も明確に提示されないまま、ひたすら翻弄される展開はひしひしと悪夢的。

加えて途中から一方的にカップルに託される不気味な子供の存在が、これまた怖かった。
お腹が空くなど何かあるといきなり絶叫するので、見ていて神経がヒリヒリした。赤子が不満を訴えるために泣き叫ぶ感じではなくてまさに絶叫。悪趣味の極みでした。

出られない住宅街の姿は、空に浮かぶ雲に至るまでマグリットの絵のような強烈な違和感があり、不気味な子供にヒロインが問いかけての

「あの雲は何に見える?」
「雲に見える」

というやり取りもその作り物感を強く象徴していた。

2人が閉塞感と絶望感に打ちのめされていく流れをダレることなく最後まで見ていられる作りはさすがでした。

ジャンルはサイコホラーだけど、唐突なSF要素などの素っ頓狂な所も含めて「世にも奇妙な物語」と同じ匂いがしたので、そちらの元ネタというアメリカのオムニバスドラマ「ミステリー・ゾーン」の方もじっくり見てみたくなりました。
てばさき

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