瀬尾晃一

とってもゴーストの瀬尾晃一のレビュー・感想・評価

とってもゴースト(2020年製作の映画)
1.0
以前たまたま観た原作舞台が面白かったなと思い、観に行ってビックリしました。褒めるところが無い。
デザイナーとデザイナー志望が主人公でありながら、その信条とも言える台詞と実際のデザインとにおける乖離。しかも原作には無かった(と思います)台詞を追加しておきながら、それを台無しにするデザインの採用。あ、もしかしてギャグだったのかな…?
ユキの服装のダサさも悲しかった。恐らく現代の設定に直しておきながら、着ている服のセンスが前時代的。世界的デザイナーなのに。脚本時点でカリスマ性が死んでいるのも残念。
映像美も無く、何をテーマにしたかったのかもわからない。低予算なのだろうけど、金をかける場所を間違えている感じも一周して笑ってしまう。最早シーン設定からして投げやりにすら見えました。カメラアングルは限界があるにしろ、映像編集はもう少し何とかならなかったのか…。
シーンひとつひとつの説得力に欠け、何故原作から削ったのか、残したのか、膨らませたのか。全てにおいて中途半端な印象が強かったです。ニュース原稿ひとつ見ても、書いた方は生まれてこの方ニュースというものを見たことがないのでしょうか?いや、細かいこと言いだすとツッコミが追いつかないですね。やめます。
敢えてこの作品を映画化したということは、恐らく原作が好きなのだと思うのですが、原作のどこが好きなのか、何故映画化しようと思ったのか、全く伝わってこなかったです。不思議でした。
映画を撮るほどの情熱をお持ちの方なのに、ストーリーの表面をなぞっただけのような浅さがあまりにも残念。全体を通して舞台作品を映画化する必要性が感じられないほど中途半端な仕上がり。とにかく「何故?」が多すぎる作品でした。原作は劇団のオリジナル作品とのことで、あんな舞台を作った人達がよくこれにOKを出したなあと思います。
せめてキーアイテムである赤い靴を大切に扱ってほしかったです。主人公の二人にとって、あんなにも雑に扱って良いものではなかったはず。ここに予算は関係ないでしょう。
キャストの演技や歌に関してはもう何も言いません…。唯一褒めるとしたらガイドの方は好きでした。そうだ、ガイドの人のために1点付けておこう。
瀬尾晃一

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