Itotty

宇宙でいちばんあかるい屋根のItottyのレビュー・感想・評価

3.6
お父さんとお母さんとは仲良しだ。とても優しいし、穏やかだし。ただ、お母さんは自分を産んでくれたお母さんじゃない。そんなお母さんのお腹には新しい命ができた。私はどうすればいいんだろう。私はいったい。。


そんな悩みや葛藤をかかえた主人公がふと出会った星ばあ。
何者なのかわからないし、別にきちんとしてもない。でもまっすぐで裏表がない。思ったことそのまんま伝えてくる感じ。嫌いになれない。

星ばあに気付かされる。
街の屋上からはいろんな家の明かりと屋根が見える。
屋根を見れば生活がわかる。
屋根の数だけ生き方も形も違う。
だから今の家族の形だって、血のつながりだって気にすんな。って。
どんな屋根だっていい。
そこが温かい屋根の下ならば。


思春期の頃の繊細な感覚はもうほとんど忘れつつある今、家族や血のつながりという切り口から、その繊細な部分に寄り添うように物語が進む。
決して同じ環境を体験した身としての共感ではないけれど、誰しもにある、あのころの気持ちや感覚を想像して思い起こさせてくれるような、静かで穏やかな映像がとてもよかった。
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