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宇宙でいちばんあかるい屋根のjamのレビュー・感想・評価

3.8
幸か不幸か私は女性で

男の子が欲しかった父の期待を裏切って
長女として生まれ
海辺の街で真っ黒に日焼けして育ち
少しだけ恋をしたりしながら
学校へ行き
アクシデントで仕事をはじめるのは予定よりも早まってしまったけれど
それから
いろんな波を乗り越えて
なんとか息をして
楽しみの映画館通いのために日々働く


しなかったこと/できなかったことがいくつか
結婚して、子どもを生み、育てること

誰かの奥さん、お母さんにはなり損ねて
おそらく誰かのおばあちゃんにも

映画の中で描かれるそれらの人たちの感情の機微を
想像の翼をはためかせて考える


この可愛らしい作品に登場する
"お母さん" "おばあちゃん" はあくまでも想像
けれども"娘"であるつばめちゃんのことは
少しだけ感じることがたやすいかも

つばめちゃんのように生みの母が生きているわけではないけれど、義理の母がいて
そしてその義母に子どもが生まれる
義母に問題があるのではないけれど
素直に"お母さん"と心を開くことが
なかなかできなくて

そんなわけで、少し居心地の悪い家庭よりも別の居場所を心の拠り所にしているのも
つばめちゃんと一緒

ただし、私には星ばあみたいな不思議な人との出会いはなかったけれど

星ばあに振り回されているうちに
だんだんと自分のことも見えてくるつばめちゃんに安心して


そうなるとあと、気になるのは
つばめちゃんの義理の母と生みの母

二人の母
それぞれの現在をみて
ここにくるまでの彼女たちの生き方を考えて
"お母さん"になるということについて
自分なら、と想像してみたり

そして
"おばあちゃん"
星ばあは一見、ぶっ飛んだ変わり者
つばめちゃんとともに星ばあを探しているうちに
彼女にも彼女の人生があり
愛するものがあり
願いがあることを知り


いろんなことを悩みながら
少女から女性になり
(妻や母になり)
歳を重ねて老女となる


その時々の
想いや願いが
つばめちゃんの住む街の色とりどりの屋根の下にあるように

私の想いや願いも
青い屋根の下に、今日も



あ。
海月の水族館
加茂水族館は、ずうっと昔に行ったことがあるのだけれど、その時は田舎の鄙びた水族館で。
今のように、海月で有名になるとは…
いつかまた、ゆらゆら揺れる海月を見に行きたいな。
jam

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