dxdxd

アンダードッグ 前編のdxdxdのレビュー・感想・評価

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)
4.3
「百円の恋」の武監督・足立紳の黄金コンビで「負け犬」たちの生き様を描いた骨太ボクシング映画!
(東映ビデオ、ABEMAという座組も気になるが)

森山未來演じる全盛期を過ぎ、噛ませ犬と化した末永、北村匠海演じる元半グレっぽい新人ボクサー大村、勝地涼演じる番組の企画でボクシングに挑戦する芸人宮木、この3人の姿を追った作品だけど、前編では末永と宮本の戦いが軸となる。

とにかく森山未來の末永が、諦めてないというかボクシングにしがみついているようにしか見えない。もはや、諦念の塊で「これ北野映画に出てきそうじゃね」内心呟いてた。あと、末永の1日、末永ルーティンが披露されるんだけど、それが本当に見事なクズっぷり!まさに「負け犬」の名がピタッとはまる。ちなみに、北村匠海演じる大村はなぜか末永に執着しているけど、その理由は後編で明かされる。

前編で特に印象的なのは加地さん演じる芸人・宮木。大物俳優の二世タレントかつ、ネタはとんでもなく滑りまくる鳴かず飛ばずの売れない芸人。あと、父親からもらったタワマンもパリピたちの溜まり場になって、後輩芸人にも舐められまくる。そんな男が番組の企画でボクシングを行うことになるが、次第にボクシングこそが自分の居場所になっていく。ちなみに、宮木に「芸人がチャラチャラしているんじゃねえよ」と喝を入れつつ、応援していくのが、実際に芸人でボクシングしているロバート山本(なんていじわるな構造!)。

実力はあるが、惰性でボクシングをやる男、全く実力はないが、ボクシングに存在意義を見出す男。本来交わることのない2人が戦うわけだけど、恥ずかしくなる位の泥試合に不覚にも泣いてしまった。映画の物語を観ているはずなのに、ドキュメンタリーを観ているのかと錯覚してしまった。同じ「負け犬」同士なのに、自分の意地やプライドの持ち様でここまで差がつくのか。一瞬「ロッキー」を観ているのかと錯覚してしまった。

「まあ、前編だからな」と油断していると滅多打ちにされる!
dxdxd

dxdxd