せっち

佐々木、イン、マイマインのせっちのレビュー・感想・評価

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)
3.7
彼らの中での佐々木は救われたのだろうか。教室で巻き起こる佐々木コールにより全裸で踊るひょうきん者の佐々木。しかし彼のバックグラウンドは相当暗く、仕事でほぼ帰ってこない父親と二人暮らしでかなり貧乏だし、趣味はインドアで1人の時はかなり孤独を抱えている。そんなシーンを見てると同級生たちといる時のクラスの男子からの人気者の佐々木とのギャップがある。佐々木はあの空間でだけはヒーローで、孤独を埋められていたのだろうか。

一方悠二は20代後半に入り、仕事もプライベートもうまくいかない。あらゆることをズルズル先延ばしにして良くない傾向。わりと周りに流されるし決断力が乏しいが、そんな悠二が旧友との再会によって佐々木との高校時代を思い出す。父親の一件、そして卒業後一度だけ再会した時、明らかに堕ちている佐々木を見たが何もできなかった。だが最後に心の中の佐々木に背中を押され、しっかり向き合う悠二の姿には心を打たれた。色褪せない佐々木との青春時代の思い出と共に、彼らが今後を力強く生きていくことを願う。
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