内から外を向く眼差し。カメラの映像を見る、窓を開ける、上の階や地下というここではない階にいる誰かについて話す、女。そして、外から訪問する男。
こうした図式をともなって3回反復される女同士の会話劇には、共通する図式の存在ゆえに浮かび上がる差異がある。
例えば、主人公の女が見る外を捉えたカメラの映像は、監視カメラの映像→インターホンのカメラの映像→映画 へと変異する。
この映画は、映画こそが外へと通じる窓になっているという自己言及で幕を閉じるのだ。逃走=解放の為の窓を穿つのは映画であるという映画監督自身の矜持には凄みを感じざるを得ない。