ケンタウロス

ベルリン・アレクサンダープラッツのケンタウロスのレビュー・感想・評価

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色彩が美しい。暗い。難解さはない。始まってからずっと、終わりに向かって行くような感覚。ダラダラと続いていく終末感。

なんとなく
セブン
レクイエムフォードリーム
を思わせる虚無感、疲労感。

人の闇を抉り出したり、社会問題に焦点を当てる作品でよく感じるんだけど、観ている時は、そんなこと全て吹っ飛んでしまって、

主人公、その、一個人の人生に没入する感覚になってしまうので、とてもまともな考察が出来ない。

良いも悪いもない。ただ虚しい。ただ悲しい。人間の、圧倒的な救いようのなさ。良い人も悪い人もそこにはなく、生きることから逃れることもできず。

フランツの人生は途中で狂ったわけじゃなくて、はじめから何も変わっていないだけとも思える。そして悪に分類されるフランツの行いと、所謂一般市民(善人)の人生を比較したときにどんな差がある?ってよく考える。自分はまともな人間だと思ってる?