Jeffrey

マシニストのJeffreyのレビュー・感想・評価

マシニスト(2004年製作の映画)
3.5
‪ ‪ ‪ ‪ ‪「マシニスト」‬
‪冒頭、死体を包む痩せ細った男。高層窓から街を眺める。晦冥な海に死体を投込む、誰かがライトを照らし近く。俺は何故眠れない、彼奴は誰だ。お前は何者だ。機械工での切断事故、精神崩壊…本作はB.アンダーソン監督の眠らぬ男の奇妙な日常を淡々と映す04年スリラー映画で久々に鑑賞し‬たが強烈な映画だ。物語は365日以降の彼の生活を描写する。既に1年は寝てないこの男の体験が変わり果てた姿で登場するC.ベールの変貌ぶりに全てが集約されたショッキングな映画だ。S.セロンがモンスターの役作りと芝居でオスカーを受賞したならC.ベールも本作で受賞して良いはずだがノミネートすらして‬ないのが不思議だ。風変り且つ暗号を解読する主人公や大胆な行為に至る滑稽さ、ヒッチコックにインスパイアされたシークエンス、音楽。怪奇が謎を呼び、自分自身が謎解きを妨害する設定が新感覚で当時、驚いた。スタッフはスペイン人を集め米国設定だがロケは違うとの事。同僚役に僅かな出番でもM.アイ‬アンサイドの存在感や娼婦役のJ.J.リーのハマり役等、脇も脚本もかなりレベルが高い。本作の為に30キロ痩せた彼とは真逆でチャプター27で体重を30キロ増量したJ.レト共に今ではオスカー俳優だ。本作を観て思ったのは不眠が続くと協調性が欠け、感情的になり短気になるんだなと…陰と陽に分裂したかの様‬な両面性を持つ主人公に只管興味が湧く。また選択技を与え、所々にあるメタファーも面白い。特に終盤は誰もが感じるだろう。にしても中盤にドストエフスキーの白痴を意味し気に映したり作風構成が抜群に凄く不条理な世界観がたんまりと味わえる一作だ。余談だが皆はショート、ロングスリーパーどちら?‬
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