そら

アーニャは、きっと来るのそらのレビュー・感想・評価

アーニャは、きっと来る(2020年製作の映画)
4.6
今まで見てきたナチス占領地域、ユダヤ、ドイツ兵の映画の中で一番中立に描かれた作品でした。

歴史的背景からナチス=絶対悪として扱われがちですが、この話では支配下の人々が軍人の優しさに触れ今までの憎しみや恐怖と葛藤しつつ仲を深めていく、一方で軍人の1人が自分の行いを振り返り葛藤し、それぞれ立場が違うだけで同じ血が通った人間なのだということを思い出させてくれます。

戦争映画にしては珍しく、人が殺し合う描写もほぼなく暴力的なシーンもほとんどありませんが、主人公や軍人が自分の行いとどう折り合いをつけたのか明確にはされていないので、完全なハッピーエンドではなく、精神的に辛くなってしまう人もいるかも…?

また民族や人種をテーマにした映画あるあるですが、ストーリーの中で主に使用されているのが英語で(制作が英語圏なので仕方のないことではありますが)、でも舞台はフランスとドイツですよね?と違和感を覚える瞬間が何度かありました。例えば、急に挨拶がボンジュールだったり、フランス語の読み書きのくだりで英語で会話していたりなど。フランス語とドイツ語のみで話が進めば、もっと集中して鑑賞できたなと思い4.6にしました。

戦争が他人ごとだと思ってる人ほど見てほしい映画です。
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