ゆず

破壊の日のゆずのレビュー・感想・評価

破壊の日(2020年製作の映画)
4.0
【狼蘇山三部作】上映にて二度目の鑑賞。
(『狼煙が呼ぶ』のレビューにも二度目の感想を追記したので良かったら読んでやってください)
→ https://filmarks.com/movies/85003/reviews/83800075

コロナ禍に作られ2020年7月にいち早く公開された56分の映画で、"疫病退散"がキーワードのひとつ。登場する人物は"修験者"たち。指パッチンは真似したくなる。
疫病を払うために即身仏になろうとした若き修験者"賢一"を演じたのは、パンクバンド"GEZAN"のボーカル、マヒトゥ・ザ・ピーポー。黒髪長い。この人、いつも赤い服ばかり着ていることを後から知ったが、終盤までは赤くないので実はレアなのでは?

閉塞する世界への悲しみと怒り。それが若者を狂わせ血の沼へと引きずり込む。
疫病の元となったのは、数年前に炭鉱で見つかった異形の"怪物"。
東京五輪のために建設された新国立競技場は体制の象徴であり、賢一はそこへ怒りをぶつける。
数年に渡って広がり続けてきた"疫病"とは、現体制のメタファーなのだと思う。病んでいるのは政治や社会。その腐敗がついにコロナ禍という形で人々を蝕みはじめた。
その怒りを、人ではなくなった賢一が背負い、足掻き、叫ぶ。誰もが無関心か、眉を顰める、スクランブル交差点の上で。

相変わらず耳をつんざく爆音。
そして攻撃的なまでの政治的メッセージ。
忖度をしなければ、ここまで尖った映画が撮れるんだな。
ゆず

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