kur

なぜ君は総理大臣になれないのかのkurのレビュー・感想・評価

4.0
ちょっと前までやってたオンラインバリアフリー上映にて。
あまり感想が思い浮かばないが、この映画はほんとうにこの小川議員の本性を見せているのか疑問が湧いてしまった。なぜなら彼自身の愚直さが示されるだけで彼の思想自体はほとんど示されないからだと思う。(官僚システムが腐ってる、安倍政権、小池への疑問などはあるが)
それをしたら小川議員のプロモーションになるからだと思うが、もうすでになっていると思うのでもうちょっと突っ込んだ言葉が欲しかった。

おまけの対談ではじめて日本についての思想「言語と文化と国家体制が根こそぎ奪われた経験がないんですよこの国は幸いかな  だから依然として政治が慰み物というか余興の一環というか   これがどれほど深刻にいずれですよ 我々の生活環境や子孫の繁栄に関わるか ということに対するシビアな歴史的感覚がやっぱり鈍い」といった発言が出てきて国会議員が国家というシステムをどう考えるかというところにちょっと触れたりして面白かった。小川議員の本を読めばいいのかもしれないが。

多分大多数の日本人はこういう議員がいることを肌感覚でわかっていると思う。愚直で真面目で誠実な議員が出てこれる余地はある土壌だとわかっているが特に応援したり探したりするわけでもなく、ただ成り行き任せで放置しているのだ。そうこうして勝手に潰れていくので国のシステム民主主義のシステムが勝手に高い壁になっていく。
およそ日本人というのは20代の私の感覚では人権意識がひじょーに乏しいと感じているので、それは基本的に教育の問題になっていくと思うのだが一方で歴史を美化し正当化する手腕も高く、そしてその材料が揃っている。だからこそ未だに特攻隊を賛美したり天皇の御真影が!とか(イヤイヤそれプロパガンダのひとつですから)世界で一番歴史の長い国!とか言って「国家」を賛美する。

でもさ「国家」と「文化」は違うんですよ。近代以降そして戦後にかけて「日本」「日本人」といった概念がいかに強化され広められていったか。
単純に反国家を語ることはできないほどシステム化された現代だが、この低レベルな状態を乗り越えてさらに開かれた思想を得るためにもなんとか真剣に歴史をお勉強しようよと思うのでした。
もうすでにそうした問題ではないのかもしれないが。

この映画は結局敗北を前提にしているので、やっぱり人柄だけじゃなくて思想を感じたかったというのもある。でもこんな普通の良識ある?日本人がこんだけやっても選挙には勝てませんというショックは与えることができたんじゃないかと思いました。
あとアート島のはずの直島って自民優位なんだね。
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