映画としては現状と問題の提示で、それほど面白い仕掛けがあるわけではないが、自分にとっては全く知らなかったフィリピン残留邦人の無国籍問題を知ることのできる、良い機会となった。
プロデューサーの方は、この問題に弁護士として精力的に携わっておられる方のようで、世論喚起の一手段として映画を製作されたようである。
残留邦人の高齢化で、問題自体が解決でなく消滅してしまうことへの危機感が強くあるようであり、支援に携わる人、何より無国籍状態にある残留邦人の状態が良い方向へ向かうことを願う。
一方で、この映画を見てより強く思ったことは、国・政府などは最終的に信頼してはいけないものだ、という逆説的なものだった。余裕があれば、国民を護れるかもしれないが、戦争などにおいては国民の庇護などたいしてできない極めて危ういものなのだ、と心に刻んでおくべきと感じる。