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君は永遠にそいつらより若いのcarcのレビュー・感想・評価

4.0
東京国際映画祭でひと足早く鑑賞。

いわゆる生きづらい若者系の映画という先入観があったので、序盤は少しリアルに寄りすぎかなあ、若者あるあるシーンの存在感が強いなあと思ってたんですが、後半は非常に良かったです。
タイトル回収も(原作の言葉の力ですが)胸に迫ってきます。

一人ひとりの背景は、客観的にはそこまで重くないものも、そうでないものもあるのですが、「普通の人間」としての撮り方がすごくはまっていて、自分がその中にいても違和感がないような、人間ってこういうもんだよなという空気感が出来上がっています。

人それぞれの生きづらさがあって、ふっと自分の前から消えてしまうこともあるけど、それを全て感じ取ることはできなくて、無神経に突っ込んでいくのも、ただ求められるままに寄り添うだけなのも、どちらも正解とは言えない。
自分のことも他人のことももがいて試行錯誤しながら生きていくしかなくて、そういう人生の中でこういう映画を見ることが、彼らの人生を自分の中に経験として取り込んで人間としての厚みを蓄えることになる、そんな気分になる映画でした。
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