けんけん3号

君は永遠にそいつらより若いのけんけん3号のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

前半は大学生の卒業までの普通の青春映画みたいな感じで進むが、後半はなかなか激しい展開になり見応えがあった。
ネグレクトの子供に会いに行く場面はホラー映画さながらの緊張感があった。一瞬見えた猪乃木の姿は、ネグレクトの子供を助けて欲しいというメッセージに思えた。暴行被害にあった彼女が助けられたように、堀貝に委ねた気もしたし、堀貝自身も過去の事件でも彼女を助けられなかった悔しさがあったのだろう。だからこその突入だろう。コンプレックスを抱えた堀貝、心身共に大きな傷を抱えた猪乃木、自殺してしまった穂峰、穂峰を自殺で失い悩む吉崎、この4人の俳優が自然に演じて良かった。特に社交的な自己否定型女子の堀貝を佐久間由衣、辛い過去をもつ猪乃木を奈緒が上手く演じていた。処女を失えない自分は欠陥品と悩む。自身を肯定できない時期だし、考えてしまう時間もあるんだろう。この年頃特有の悩み、フッと襲ってくる不安、青春の危うさ、葛藤をよく描けていたと思う。歳を重ねても、不安はあるし、コンプレックスがなくなるわけじゃないんだけどね…。堀貝と穂峰は優しい人間なんだろう、失踪してしまった子供を心配したり、ネグレクトの子供を助けたり。それと同じような自己否定の悩みを持っていたがゆえに波長が合ったんだろう。帰り道、一緒に過ごしていたら何かが変わっていたかもしれない。ラスト児童福祉士になってからチャイムを鳴らす堀貝の未来は明るいだろう。個人的には観て良かった作品。主題歌も良かった。