ほわいとりりぃ

国葬のほわいとりりぃのレビュー・感想・評価

国葬(2019年製作の映画)
5.0
歴史

カンヌ国際映画祭等、近作10作品全てが世界三大映画祭に公式選出の鬼才セルゲイ・ロズニツァ作品3選『粛清裁判』『国葬』『アウステルリッツ』が日本初公開となると聞き、上映延長になり観られました!

ドキュメンタリー3作の鑑賞はキツいので20世紀最大級のスペクタクル スターリンの『国葬』のみを!

『国葬』

1953年3月5日。
スターリンの死がソビエト全土に報じられた。
死去後67年の時を経て蘇る人類史上最大級の国葬の記録は、発見されたフィルムにはソ連全土で行われたスターリンの国葬の様子を映した200名弱のカメラマンたちの記録だった。
延々と135分(2時間)スターリンの国葬の様子ー参列した国民 “ 群衆 ” や関係各国訊問者を映し出していた。
びっくりしたのは、3/3危篤になってから3/5死去するまでの病状を細かく発表していた事💡
祭壇のベッドに、そのまま安置されていて、模写する画家たちや参列者がその脇(と言っても花輪等があるから離れてはいるだろうけど)を通っていた事。
そして、本当に多くの国民(群衆)が参列していて、慕われ愛されていた事がわかった。

『国葬』95/2020



セルゲイ・ロズニツァ作品〈群衆〉3選『国葬』『粛清裁判』『アウステルリッツ』待望の日本初公開🎊

20世紀最大級のスペクタクルとしてのスターリンの国葬、スターリンの独裁体制と後の大静粛につながる裁判———そして人類史上最大の悪が行われたホロコーストの現場。時代と群衆に眼差しを向け、映画に新たな視座を提示する、鬼才セルゲイ・ロズニツァ作品3選、待望の日本初公開。

『国葬』
2019年/オランダ、リトアニア/ロシア語/カラー・モノクロ/135分
1953年3月5日。スターリンの死がソビエト全土に報じられた。リトアニアで発見されたスターリンの国葬を捉えた大量のアーカイヴ・フィルムは、同時代の200名弱のカメラマンが撮影した、幻の未公開映画『偉大なる別れ』のフッテージだった。そのフィルムにはモスクワに安置された指導者の姿、周恩来など各国共産党と東側諸国の指導者の弔問、後の権力闘争の主役となるフルシチョフら政府首脳のスピーチ、そして、ヨーロッパからシベリアまで、国父の死を嘆き悲しむ幾千万人の人の顔が鮮明に記録されていた。67年の時を経て蘇った人類史上最大級の国葬の記録は、独裁者スターリンが生涯をかけて実現した社会主義国家の真の姿を明らかにする。

『粛清裁判』
2018年/オランダ、ロシア/ロシア語/モノクロ/128分
1930年、モスクワ。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられる。この、いわゆる「産業党裁判」はスターリンによる見せしめ裁判で、90年前に撮影された法廷はソヴィエト最初期の発声映画『13日(「産業党」事件)』となった。だが、これはドキュメンタリーではなく架空の物語である——— 発掘されたアーカイヴ・フィルムには無実の罪を着せられた被告人たちと、彼らを裁く権力側の大胆不敵な共演が記録されていた。捏造された罪と真実の罰。スターリンの台頭に熱狂する群衆の映像が加えられ再構成されたアーカイヴ映画は、権力がいかに人を欺き、群衆を扇動し、独裁政権を誕生させるか描き出す。

『アウステルリッツ』
2016年/ドイツ/ドイツ語、英語、スペイン語/モノクロ/94分
ベルリン郊外。真夏の陽光を背に吸い寄せられるように群衆が門を潜っていく。“Cool Story Bro”とプリントされたTシャツを着る青年。辺り構わずスマートフォンで記念撮影をする家族。誰かの消し忘れた携帯からはベートーヴェン交響曲第五番「運命」の着信音が鳴り響く。ここは第二次世界大戦中にホロコーストで多くのユダヤ人が虐殺された元強制収容所だ——— 戦後75年、記憶を社会で共有し未来へ繋げる試みはツーリズムと化していた。私たちは自らの過去にどのように触れたらよいのだろうか。ドイツ人小説家・W.G.ゼーバルト著書「アウステルリッツ」より着想を得て製作した、ダーク・ツーリズムのオブザベーショナル映画。配給:サニーフィルム

▼12/5(土)〜12/11(金)
〈延長上映決定!〉▼12/12(土)〜12/25(金)
11:00「国葬」13:45「粛清裁判」16:15「国葬」19:00「アウステルリッツ」

カンヌ国際映画祭で二冠、近作10作品すべてが世界三大映画祭に選出されている日本未公開の鬼才セルゲイ・ロズニツァ。1997年、パラジャーノフやタルコフスキーなどロシア映画界の巨匠を輩出した全ロシア映画大学を卒業後、新たな才能として、ソクーロフの製作で知られる名門サンクトペテルブルク・ドキュメンタリー映画スタジオで映画監督としてキャリアをスタートさせる。
1990年代後半から2000年代後半、ロズニツァはロシア郊外の人々の暮らしや、季節の移り変わりなど、何気ない日常を35mmフィルムで撮影したモノクロの短編作品群を発表してきた。ソ連崩壊後、ロズニツァの映画製作は、転換期にあるロシアの古き良き風土を記録することに重きが置かれていた。これらの作品でロズニツァは度々人の「顔」をロシアの心象風景のように撮影してきた。
2010年以降、ロズニツァは二通りの手法でドキュメンタリーを製作してきた。一つは発掘された過去の記録映像を使用するアーカイヴァル映画(ファウンド・フッテージ)である。アーカイヴ・フィルムを断片的に使用するのではなく、時系列に沿いながら、全編を通じて最初から最後まで各リールを長尺のカットで繋ぎ、歴史をそのまま現代に蘇らせる作風は他に類を見ない。そしてもう一つの手法は、各時代の戦争やその表象を考察するオブザベーショナル映画である。これらの作品でロズニツァは度々「群衆」を象徴的に登場させてきた。
『セルゲイ・ロズニツァ〈群衆〉ドキュメンタリー3選』はロズニツァの近年の作品群に焦点を当てたドキュメンタリー・セレクションである。様々な時代の群衆と人々の顔を見ることで、時代を突き動かしているのが「群衆」であり、その時代の象徴が私たち一人一人の「顔」であることに気がつかせてくれる。過去と現在に同時代性を感じた時、私たちは、“現代(いま)”、どのような顔をしているのか———。
ほわいとりりぃ

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