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アウステルリッツのさのレビュー・感想・評価

アウステルリッツ(2016年製作の映画)
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大盛況のアウシュビッツ=ビルケナウ。思い思い?の時間を過ごす訪問者たちに相対して、地縛霊視点ってこんな感じなんだろうと夢想する。静止したモノクロのロングテイクによって時の流れも時間軸における現在地点すらも不明瞭になり、思わず座席に一体化しかけた。90分観て最後にやっと1人、カメラに向かってピースする修学旅行生がいて現世に帰ってきたような安心感。
内容は忘れたが、質問を投げかけられて沈黙するツアー客たちに「沈黙もひとつの解答です」と言うキレキレのガイドがいた。こういうナイスな瞬間だけを抽出する音声処理ってどうやってるんだろう。
遺跡でしんみり耽っているところは撮られたくない気もするのだけど、この映画のことを思うと(見映えがよかったからとかではなく)撮られてもいいなという気がしている。
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