ぺんじん

セイント・フランシスのぺんじんのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
4.2
生理や中絶などの女性のフィジカルの問題をドラマチックでは無く、日常的な困難として描いているのが印象的だった。
最近観た映画だと『わたしは最悪。』に近くて、エリートでは無い30代前半の女性の等身大の姿というのが現代的なテーマになっている感じがした。両方とも結構恋に恋する感じは似ているけど、『わたしは最悪。』の主人公が個人的な選択を重視しているのに対し、こちらの方がその場その場で将来を決めていっている感じがよりリアルっぽい。
ナニーとして働く家庭がレズビアンの家庭で、しかも高齢者カップルという所がかなり先進的ではあるのだけど、そういった部分はあくまで背景で、それよりも育児をめぐる日常的なゴタゴタが描かれているあたりが結構共感できる部分が多いかも。
いくら理解あるパートナーがいたとしても、自分の体の事は自分で決めるしかない、という女性の体を巡る切実な悩みがじんわりと感じられるのが良かった。でもあんなに年下の男が主人公の体の事を思ってくれるのに、彼氏では無いんかい!結構良い奴だろ!まぁそういうドライなところも今のアメリカっぽい。
幼稚園生ぐらいなのに結構ませてるフランシスやその家族と関わっていく事によって、将来へと一歩進む力を得た主人公。自分の体に悩む女性たちの背中をそっと押す、ひと夏の爽やかストーリー。
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