ぷりん

まともじゃないのは君も一緒のぷりんのレビュー・感想・評価

4.2
恋愛の話なのにコメディ要素もあって引き込まれたから一瞬だった。

大野さんみたいな人は世の中に一定数いるし出会ってきた。僕はそう言う人好きなんだけどなぁ。ただ偏見かもしれないというか絶対偏見なのだけれど、現実世界で大野さんは秋本さんみたいな人に巡り会うことはないし、ましてや美奈子に相手にされることも多分ない。あの役が成田凌と言うイケメン俳優だから成立する話であると言うことを忘れてはならないのではないか。逃げ恥も平匡さんが星野源だから成立するのと同様。

秋本さんは誰目線なの?って言うツッコミを入れたくなるくらい上から目線で面白いし微笑ましい。自分の恋愛はうまくできないのに他人へのアドバイスだけは上手い人ってこういう感情なのかな笑

最近自分は恋愛がうまくいかない。男子校だった中学時代と勉強と部活に全力を注いで恋愛は大学からで良い!って思ってた高校時代に恋愛しなかったから!中高にまともな恋愛してないから大学時代でもうまくできないって言い訳にしてて、途中までは大野さんを見てても、ほらこうなるだろみたいな感情でした。大野さんほどじゃないとけれど自分も人(特に異性)とコミュニケーションをとるときにあんな感じになってしまう時があるし…。好きの意味聞いたり、定食屋さんに行ったりね。
でも途中から、「普通」って言葉が妙に刺さってきた。
自分の中では中高大で1人ずつくらい恋人がいて、その反省を生かして人を見極める能力や自分と恋愛的に合うゾーンを知って、社会人5年目くらいに結婚して、30くらいで子どもを授かってみたいなルートが「普通」だと思ってたからこその焦りみたいなものがあったんだよね。でも、大野さんにとっての普通は、世の中の9割にとってはエキセントリックかもしれないけれど、かすみの「普通」と一部マッチングする部分があったわけなんだよね。 
だから、30過ぎて初めて付き合った人と結婚するのも、逆にハタチですぐに授かり婚するのも、歳の差婚も、異質なものでありながらそれは誰かにとっての普通なのかなと。当たり前だけど恋愛の形は人それぞれだし、他人が口出す問題じゃないし、他人どころか親とか親戚とか家族にも気を使うものじゃなくて、自分で決めたら良いのだよね。
カフェで大野さんが「普通」ってなんだよって怒鳴るシーン良かったなぁ。

小泉孝太郎演じる宮本さんは呆れるくらい酷かったね。これまた偏見だけど薄っぺらくて中身がないベンチャー社長ってあんな感じ。あんな感じの人、本当にいる。なぜか妙に若い人からモテるんだよなぁ。
ここには学校や塾の先生と高校生が付き合うことがあるって言うのに通じるところがあると感じる。16歳にとっての25歳と26歳にとっての35歳は年齢差同じでも、収入や性に対する知識等々含め全然違う。どんな関係性であれ全く対等になることはできない。だからこそ、大野さんがそこを分かっていた結末になったのは嬉しかった。精神的に優位な大人と知識のない子どもの恋愛が崇められる一部のマンガやアニメの空気感どうにかならないかなぁ。

だいぶ話がそれてしまった。話を戻すと、誰目線って言われるかもしれないけど美奈子さんにはかわいそうっていう感情しかわかなかった。大野さんとくっついたらいいのにとは1ミリも思わないけど。日本は自由恋愛が憲法で認められてるはずなのに、いろんなしがらみからそうできない人がたくさんいるよね。
あと不倫や略奪愛は、いずれ自分に同じ形で返ってくるから絶対いけないことだと思う。

恋愛は順番を間違えたらそこで終わり、引き返せないというかすみのセリフも響いたなぁ。雰囲気とかで持っていく恋愛に抵抗があったから学園祭マジックとか文化祭マジックとかすごく嫌いだったけど、あの時しかできない恋愛もあったのかなぁ。

非常に長くなってしまったけど、この時期に出会えて良い作品でした。また何年か後に鑑賞したいと思います。

※あくまでこの映画の感想であり異性愛者の私の視点であることを記しておきます
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