GODZILLASAURUS

シー・フィーバー 深海の怪物のGODZILLASAURUSのレビュー・感想・評価

3.0
「感染症が流行する時にこそ観ていいかも」

ネタバレあり


深海の怪物とあるが、怪獣やモンスターではなく寄生虫・パラサイト作品。
海洋上の遠洋漁業船の上という隔離空間が舞台で寄生モノなので、要はエイリアン1作目的なストーリー。
癖の強い主人公の紹介から漁船に乗り遠洋へ行き、謎の生物により船が動かなくなるまでの流れは、暗い雰囲気の画面と合わさり、不穏な空気を漂わせる良いものだと思う。ただ、触手からの解放以降は、よくある寄生生物系ストーリーと大して変わらない。
ちなみに、バッドエンドで主人公は寄生される。

寄生生物に関する詳細は分からずじまいで、成体の全体像もハッキリと見えないのは残念だった。
クジラ類に触手でとり憑き、そこから精子状の卵?寄生体?を送り込み、幼生はクジラの体内で成長するらしいことはわかったが、それ以上は解明されない。せっかくの好奇心をそそる設定なだけに、もう少し謎を明かしてほしかった。

幼生が眼球に集まり、眼球破裂から幼生拡散という流れが最初の犠牲者だけだっとのは残念。せめて2人目も同じ描写がほしかったかな。

科学者の卵(博士課程の院生)が主人公で、海洋生物と寄生虫に関わる行動解析やモデリングを専門としているはずなのに、船員の行動観察に終始するだけで、新種である寄生生物にかんする調査と考察はお粗末なもの。あれほど1人で行動解析をするのが得意と言っていただけに、残念である。

主人公は、研究室と外界は違うんだと船員に言われるが、院生の頃はそんなもの。むしろ、寄生されていないことが判明するまで上陸するべきでないと強く主張するところは、自分より年上だらけのあの状況でなかなか言えないこと。
専門家が警告しても、個人のエゴや勝手な判断が感染症を拡大させてしまうことは、新型コロナウイルスパンデミックで身をもって体感した。本作では規模は小さいながらもそれと似た状況が起こり、主人公が苦悩する様子も描かれているので、こういう時(2021年時点)こと鑑賞してもいいかなと思える作品だった。

クリスマス島のアカガニが外来種のアリによって全滅したという字幕約があるが、実際には全滅はしていない。ただ数は大きく減っているよう。星3.0
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