四コマ映画『みんなのヴァカンス』→ https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2853
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こんな映画が撮れちゃうってことがわかったら他の映画作家は落ち込んじゃうんじゃないの?
っていうくらいにずっと奇跡でした。
アドリブも多いとのことなんですがそれが全然わざとらしくない。アドリブと台本通りのシーンに全く差を感じない。
画面の奥に映るモブ一人一人も自然。
モブにありがちな固さがない。ヴァカンスに来た観光客の一人一人にしか見えない。
画角があるのがもったいなかったです。この画面の外で行われていることにもきっと物語があっただろうと思える映画。
全然閉ざされていない。
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■人物がとにかく自由
物語の流れ上必要なセリフを言うためだけの人物、みたいなのが1人もいない。人物が物語に消費されていない。
観客に好かれようなんて思っていない言動をしていく。
(だけど嫌いにはなんなよね、この人たちを)
一番好印象であろうシェリフもよく考えてみたら人妻に近づくヤバいやつだし、フェリックスの話では「いつも彼氏持ちや旦那持ち」を相手にしているやつみたいだし、ストレートに心優しいとは言い切れない人物。
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■以下は加瀬亮さんの言葉
「簡単に言っちゃえば不倫なんだけど、エレナにしても結婚して子供を産んで夫の無理解に苦しむという経験を経なければシェリフの魅力には気づかなかったのでは。」
とユーロスペースでのトークショーにいらした加瀬亮さんが言っておられました。
この映画を見て「え、これ不倫じゃーん!不倫を擁護する映画だ!」と怒る人はいないのではないでしょうか。
人物と物語を丁寧に描いてくれていることで、その先の人間らしさを観客は受け取ることができる。
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■人種差別
主役の黒人俳優2人は「黒人であることを強調したくない」と映画作りの前に主張していたそう。
監督としては、あたかも人種差別がないような世界を描くのはまた不自然である的なことでこの映画では差別描写を幾つが盛り込んでいます。
が、どれもうっかりしていると気づかない程度。
差別を描くことがテーマではないけど、差別を描かないこともまた映画としておかしい、的なこともパンフに書かれてました。
(詳しくはパンフを参照)
例えば、嘘をつかないと休みを取れない状況であるとか、相乗りアプリに普通に黒人男としてアカウントを作っていたら誰も乗せてくれないから女性のふりして偽垢作る必要があったとか、そもそも車を持ってないとか電車賃が出せないとか、フランスであっても黒人として生活するのが大変であることが実はじわじわと描かれている。
ただ上記の全てがコメディシーンとして活かされているとことがこの映画の豊かなところ。
また、主役の黒人青年2人にも白人に対する差別意識がある。そもそも店長は正直に言えば休みをくれるタイプの人だったし、シェリフが高学歴エスカレーターを降りたのは「白人ばかりの学校はいけ好かない」という思い込みがあったから。
実は誰しもに思い込み(ものによっては差別と言えるレベルの)があって、この映画の中でそれらが少し緩和されていく。
群像劇とも言えるくらいにそれぞれの物語が勝手に動いているけど、大きな枠としてそれぞれが囚われていたものから少し自由になるという点で共通している。
だからこそ見終わった時に爽やかな気持ちになったんだと思う。
割とクズ人間ばかり出てきていたのに彼・彼女らを好きになってまた会いたくなっちゃうのは、この映画を包む力強い明るさがあるからだと思います。
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■映画見た直後に書いた文は以下
取り急ぎ満点であることをご報告いたします。
現状渋谷のユーロスペースのみ渋谷のユーロスペースのみの公開ですが、
来月からは東北以外の本州では一応全地域上映されます。
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【上映劇場】
東京 ユーロスペース8月20日(土)~
鳥取 jig theater8月26日(金)~9月5日(月)
大阪 シネマート心斎橋9月16日(金)~9月22日(木) ※1週間限定
京都 京都シネマ9月16日(金)~
愛知 名古屋シネマテーク9月予定
富山 ほとり座9月予定
長野 上田映劇9月24日(土)~
2022年8月22日現在の情報(公式サイトより転載 https://www.minna-vacances.com/)
ギヨーム・ブラック監督 | 「みんなのヴァカンス」
ギヨーム・ブラック監督『みんなのヴァカンス』 2022年8月20日(土)より、ユーロスペースにて公開
www.minna-vacances.com
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今年観た映画の中で1番好き。
なんなのこの奇跡のような映画は…と思ってラストまでずっと最高。
全員観たらいいよ。
加瀬亮さんからホン・サンス監督の名前も出てきて、なるほど共通するものがあると膝を打った。
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改めてミニシアター映画って最後の自由だと思った。
140字以内でもなく30秒以内でもなくスポンサードコンテンツでもなく
2時間程度の時間をかけてゆっくりと語ることができるからこそ
多様で微細なメッセージを〝柔らかく〟受け取ることができる。
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今日加瀬亮さんが言っていた
「映画自体が面白いのもそうなんだけど、見終わったあとに〝自分の人生〟が良いと思える映画が良い映画」
ってのがなんと力強く、なんと厳しい言葉だろうと思った。
おれの人生もなかなかいいじゃんって思える映画ってどれほどあったろうかと思うけど
今日見た映画は確かにそうだった。
今まで言語化してなかったけどただ見物するだけじゃなく多分自分が肯定されたくて映画を観てきただろうし
映画にその力があると考えてる人しかそういう映画は作れないんだろうな。
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上映後のトークショーが加瀬亮だったのです。
顔ちっちゃかったぁ。かっこよかったぁ。47歳には1秒も見えんかったわ。
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四コマ映画『みんなのヴァカンス』→ https://4koma-eiga.jp/fourcell2/entry_detail.htm?id=2853