スクラ

望みのスクラのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.2
〈どちらの望みが叶っても地獄しか待ち受けていない辛さ〉

行方不明になった息子は殺人事件の加害者か被害者か。たとえ加害者であっても、愛する息子に生きていてほしいと思う母の望みと息子は決して人を殺すような人間ではないと信じたい父の望みが衝突する様は観ているこちらまでも苦しくて苦しくてしょうがなかった。

息子が加害者なら今までの生活とは全く異なる加害者家族としての未来が待ち受けている。被害者であれば、息子の名誉は守られるけど、それは息子との死に別れを意味している。

加害者やその家族に対する現代の行き過ぎた行為に一石を投じるような描写がたくさんあり、色々と考えさせられた。
特に容疑者の家族であるだけで理不尽に翻弄される妹、雅の立場が観ていて本当に切ない。

なんというか、悪い作品ではなく、むしろ人におすすめしたくなる映画ではあるのだけれども、悲痛な気持ちが強くて何回もは観られない映画。手をぎゅっと握りしめながら、「どんな結末になっても見届けるぞ・・・!」という気持ちになる。
この物語に光や希望を見出す人も中にはいるかもしれないけど、私には重い映画だった・・・。
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