チーズマン

ドント・ルック・アップのチーズマンのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.5
豪華キャストによるブラックコメディ、最高でした。

地球に破滅級の巨大彗星が確実に衝突することが分かり、一致団結して対処しなければならないのに、、、というコメディです。
この設定がとても面白くて、例えば今全く同じ状況が起こっても、政治やメディアに振り回されて何一つ前に進まない感じ。
俯瞰して状況を見れる我々観客にとっては、真実どうかよりも自身のポジションに忠実に言動してしまう人間達があまりにも愚か過ぎて、もはや笑うしかないというまさに正統派ブラックコメディ、痛烈な社会風刺でした。

空から彗星が堕ちてきてこのままだと全てが終わってしまうのが分かってるのに、政治やメディアや宗教や陰謀論などとにかくごっちゃごちゃに混乱して、結局なぜか
「空を見上げるな!」
という空気になってしまうわけですが。

もちろんこの彗星というのをメタファーとして現代社会の色々な何かに置き換えて観ることも出来ますが、散々人間の愚かさと混乱をブラックな笑いで見せられた後に終盤の方で初めて遂に肉眼で空の彗星が見えた時、全ての混乱と醜さを終わらせてくれる存在としてもはやその姿が美しくすらあるという不思議な感覚にさせられて。
ブラックコメディ映画としてちょっとすごい領域に行ったなと思いました。

物語りが進むにつれて、観る側の思考のスケールもどんどん大きくなる感じですかね。

それぞれの人間たちが愚か過ぎてと言いましたが、見ていて腹が立ちますが、でもなんかそれすらも人間臭くてギリギリのところで嫌いになれないんですよね。
結局人間なんてそれぞれが置かれた立場からでしか発言や行動しないんですよね。
で、そこに正しくないとか間違ってるとか言ったところで実際あまり意味なくて、今回の新型コロナの世界を見ても思いましたね。
それぞれの個人がどう思おうが、もはやなるようにしかならない、という感じ。


アダム・マッケイのファンなので作品は全て観ていて、昔の『俺たち〜シリーズ』みたいな非現実的なキャラを使った強烈なブラックな笑いのみに特化したのも大好きですが、『マネー・ショート』以降のリアルな社会風刺そのものが勝手にブラックコメディになるという笑えなさ過ぎて逆に笑える路線のシリーズではアダム・マッケイの最高傑作じゃないでしょうか。


それにしても、ディカプリオ。笑
近頃のおじさんディカプリオのかわいさにいよいよ磨きがかかってきた感じです。
困ってパニクってる姿がまた画になるんですよね。
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