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ドント・ルック・アップのRENのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
3.3
●彗星衝突を巡る最低最悪のやりとり
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結論からいうと僕はそこまで楽しめなかったです。
彗星衝突を巡って、世論が「Look Up派」(空を見て滅亡の日に備えろ!)と「don't Look Up派」(なんとかなるから空を見上げるな!)に分かれる流れなんかは、コロナ禍における不穏な世相を反映していて興味深かったりしました。ただ基本的には、保身だけを考えるおバカな政府と危機を訴える天文学者のやり取りが延々と繰り返されるのみで、残念ながら退屈でした。
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●ステレオタイプすぎるキャラクター達
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本作はド直球な風刺映画なのでこれは宿命なのかなとも思った部分ですが、登場してくるキャラクター達が揃いも揃ってステレオタイプすぎるような印象でした。顕著なのはメリル・ストリープ演じる大統領。どんな局面でも自らの保身のみを考え、最低の選択を繰り返していく人物像は風刺映画のキャラクターとしては最高の人材でしたが、「風刺する為に生み出された人物」と考えると冷めてしまうような気がします。あくまで風刺ファーストの映画。本作では誰ひとりとして改心することも成長することもありません。まさに、「バカは死ななきゃ治らない」を体現している映画ですね。
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●まとめ
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本作をなんとか最後まで観れたのは、どことなく星新一や筒井康隆作品に感じる雰囲気を実写映画として体験できた部分かなと思います。題材なんかはまさに星新一作品にありそうですし、風刺精神は筒井康隆作品に通ずるものはあると思います。ただ、肝心のコメディ部分についても笑ったシーンはほぼなかったし、物語的な展開もほぼ皆無なので総じて眠い時間が続きました。テンポも決して良くはない上に上映時間も長いので、「話題になってるからとりあえず観とく」以外の選択肢は僕はオススメできないです。ゴメンナサイ。
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