モモモ

ドント・ルック・アップのモモモのレビュー・感想・評価

ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)
4.2
アダム・マッケイの映画は笑えないんですよね。風刺が効きすぎていて胸が痛くなってくる。
1周回って笑え…ないですね、本当に…。
トランプ政権下の悪夢だけではなく、コロナ禍で更に深まった分断と陰謀と…そんな人々を軽視するリベラルな人達も…そして最後にはやはり徳をするリッチな白人達を…全て残さず風刺し嫌悪する。
主人公が最後に取った選択肢が今の世の中を生きていく我々のこれ以上にない代弁をしてくれている。
「こんな自分を含めて馬鹿ばかりの人間世界で生きていくなんて真平ゴメンだ。それはそれとして、家族は、友人は、恋人は、愛は素晴らしい」
やはり人類は死滅すべきと本作を観た全ての人が共感してくれるに違いない。
セレブとの2ショット、胡散臭い側近達、他者を嘲笑う無能な息子、メディアに飲み込まれる科学者、何もかも嫌になる大学院生。
阻止できるチャンスは無数にあったのに。問題と向き合う事がまるで出来ない。正に今の我々そのものだ。死を目前に、彗星を目前に、初めて困惑し、恐怖する。
世の中はクソ、メディアはクソ、言論はクソ、人はクソ、何もかも死んでしまえば解決だ。
恐怖を隠せない彼らの最後の無常さを感じるのも束の間、2万年後の彼らへの失望と拍手で幕を閉じる。人間嫌悪、ここに極まれり。
ディカプリオはキレればキレるほど、良い。
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