映画好きの柴犬

スペシャルズ! 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

3.8
みんな特別。誰一人見捨てない

 引取り手のない重度の知的障がい者の世話をする未認可の施設で奮闘する人たちを描く、実在の施設をモデルにしたヒューマンドラマ。

 タイトルや予告編からは割とコメディ色が強く感じられるけど、実態はかなりシリアスめ。この長ったらしいサブタイトルはなんとかならないかと思うけど、ストレートなタイトルだけではなかなかみてもらえないかな。

 サブタイトルからは、潰されないようにするための行政との戦いが主題のように感じられるけど、それは横糸で、綱渡りで運営される施設の日常をドキュメンタリータッチで描き出す。障がい者たちの行動が予測できない上に、施設の従業員もドロップアウトした若者が多く、トラブル続きでハラハラされられっぱなし。それでも、障がい者もドロップアウトした若者も、誰一人見捨てないという信念には脱帽。というか、こういう社会の末端は、結局個人の信念に頼るしかないっていう現状。

 調査員の聞き取りの中で、施設の必要性は明らかになっていき、映画中では施設は存続するけれど、それ自体はなんの解決にもなってないってことは忘れてはならない。