スーパーの店長青柳（松坂桃李）が万引き少女を追っかけていったら、その少女は車に轢かれて死んでしまう。
複数の人間の人生に大きな影を落とす事故から始まる重厚な人間ドラマ。この事故のシーンがえげつなすぎて、呆然とする。直接的に見せないのに、ここまでゾッとさせられるとは…。
さて、その少女の父親添田を演じるのが古田新太。バラエティでも見かける彼とは別物。顔のシワとか窪みの感じとかが凄い。口も性格も悪い嫌なクソ親父。娘とちゃんと接することもできてなくて、自責を免れるためのように、元からあった空白を埋めるかのように他者に攻撃的になっていく。関わりたくないが、本質的な弱さが見え、同情してしまう。
青柳はまさに不運の塊ではあるが、嫌なことを嫌と言えず、人と向き合うことが得意でない所が事態を悪化させがち。これまた、イライラするんだが共感できる人物像である。
その青柳を支えようとする善意の塊草加部（寺島しのぶ）さんというキャラが誰よりキツかった。ちょっと濃すぎるし、出番が多すぎるので胸焼けした。
他方で、死に関わったドライバーの一人は序盤でちょろっと出ただけでほぼ出てこないのが凄く印象的。描かれないので分からないが、彼は罪の意識はなく、関わろうとしなかったので、いち早く平穏な日常に戻れたのかもしれない。
罪の感じ方も人それぞれで誰も間違っているとは言えない難しさを感じる。
救われる人・救われない人と分かれてはしまったが、終わり方も素晴らしかった。
