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空白のamのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.2
空白だけが残った。

『新聞記者』同様、余韻を含めてひとつの作品と言える。感情が新鮮なうちにレビューを書こうとおもったが、少し時間をおいてみた。案の定観てすぐには出てこなかった気持ちがいろいろと溢れてきた。

「死ぬことがいちばんいけないことだよ」
「直人くんは正しいんだから言わないと」
「ちゃんと話せば伝わる」
本当にそうなんだろうか。
誰も悪くない。誰の言っていることも間違いではなくて、正しいって正義って何なんだろう。

終盤、古田新太の「疲れたな。」その一言に尽きる。すべてが詰まってる。

観ている間ずっと、ボランティアおばさん気持ち悪すぎ、いい加減にしろとおもっていたけれど、涙を流すシーンを観て、しばらく経って思い返したらまったく違う印象に感じた。
彼女の承認欲求とか、正義の押し付けでしか満たされない気持ちってみんな少なからず持っている。知らず知らずのうちにひとを傷つけているだろう。もちろん極端な例だけど、彼女には彼女の苦しみがあるんだろう。

藤原季節が最高で救い。『his』や『佐々木、イン、マイマイン』をはじめ良い作品にたくさん出てるよなあ。

復讐の連鎖を起こさず、「心の弱い子に育ててしまったわたしの責任です。どうか娘を赦してやってください」と言った母親のシーンも心から消えない。

あと松坂桃李土下座似合うな。笑
この前まで広島弁で怒鳴り散らしてなかったか?笑

この空白はわたしたち個人が埋めるものであって、正解はないし、それが人間だとおもう。
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