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空白の中のレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.8
やり場のない息苦しさ、怒り、嫉み、悲しさ、人間の負の感情が画面からドバドバ溢れ出ていて見ているこちらも苦しくなる。
人の噂も七十五日、極限の追い詰めから、人々は徐々に忘れていき、平穏な日々に戻っていく。
物語や父の心情を表すような、天候や光などでの画作りの変化がとても自然で観ている側としても少しずつ気持ちが晴れていくような感じがした。
思うようにいかない(生きれない)不器用な無様な人間たちを世武裕子の音楽が優しく包み込む。
事故のシーンは目を覆ってしまうくらい残酷なシーンで想像以上の衝撃があって、監督の徹底さを感じた。
それと、ラストが印象的。
親子関係がよくない状況で、絵を見つけて、その中に親の似顔絵があって涙する、はよくあるパターンだけど
記憶の中に同じ景色があった
という描き方がすごく上品で印象に深く残った。
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