父子家庭で娘と向き合わないのに、事件には執拗に執着し、全方位にモンペのようなクレームをするモンスター級な父親。娘を失ったことは悲劇だが、それ以外は中々同情できない。別れた妻も、こんな父親に子供を預けたと思ったが、妻の過去の鬱が原因と思われる背景も抜け目がない。
事故の過失や善悪の是非の線引きの過酷さ、癒されない自己嫌悪が負の連鎖を招く。様々なことに向き合うようになって、自己の癒しが他者の癒しになり、寛容さと優しさの伝播へ。決してプロットが綺麗でないが、重厚で雑多感がある中で、特徴あるキャラ達の捌き方が巧いことが作品の意外な抑揚に繋がる。一辺倒で重いテイストに固執しないことが良く、最後まで飽きずに魅せられる。
