智乃

空白の智乃のレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
4.4
期待していた通り素晴らしかった。ストーリー、演出、人物全てに考えられること、得ることがあった。ただ受け取るものが多いものを観た時、口からはベラベラと感想は出るんだけど後にレビューを書くのが苦手で自分の文章力の無さに悲しくなる…

店長と父親のW主軸に物語が進む。登場人物がそれなりにいるが、全員と言っていいほどその人となりや関係性を描いていてよかった。

個人的に強く印象に残ったのは3つ。
1つ、漁港に記者が来るところと弁当屋に電話をするところの「怒り」。それぞれにだめなところはあれど向ける怒りの質量が大きすぎる。どちらも似ていて、わたしはそれが添田に似ていると感じた。
2つ、葬式の母親,父親の対比。添田はあれほど花音を想えていただろうか。親としての、人間との関わりとしての差を感じてしまった。
3つ、イルカ雲の絵。あのワンシーンで家庭内で添田が花音に話をして、花音がそれを覚えていて描いたことが分かる。添田の船、話、花音の行為の愛おしさが最後の最後に分かるシーンで一番切さなを感じた。

いろんな形でいろんな感情で人との関わり方を考えさせられた。
智乃

智乃