吉田監督作品は『さんかく』とか『純喫茶磯辺』とか、ちょっとコメディ要素があるものが好きなのだけど、今作はかなり重め。
冒頭から、みんながみんなどん底に落ちて苦しんで、ただただ辛い。
感情移入すると見てらんないかも。
でも若干引いて、客観的に見ると、人のまっすぐさ、それが故の愚かさに笑えてくる。
とはいえ、そんな愚かさだけを描く意地悪さだけじゃないのが今作のすごいところ。
どこかで他者と繋がってる、という一縷の望みが美しくて尊い。
普段見えないからこそ、なおのこと。
人間の汚いところばっかり描いている本作だけど、根っこは人間讃歌な作品だと思った。
あと、古田新太さん、片岡礼子さん、寺島しのぶさんがそれぞれ涙を見せるシーンがあるんだけど、どれも鷲掴みにされた。
最後に。
尺の長さが素晴らしくちょうど良かった。
説明不足にも過多にもなり過ぎない、『ここで終わってくれ！』ってところで終わる。
吉田監督の作品はそこが毎回素晴らしい！
