ドアラ

空白のドアラのレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.9
見終わったあと軽い気持ちにはならないずっしり来る系の映画。

事故の被害者、事故の加害者(間接的)、事故の加害者(直接的)のその後を丁寧に描いた映画。

事故の被害者の父である古田新太はTHE昭和の頑固親父といったところで加害者の気持ちなんて分かりゃしない。ただ、事故前は娘のことを気にもかけなかったような男。
一方で、スーパーの店長であり、人の目を気にしやすい事故の加害者(間接的)になってしまった松坂桃李。
さらには、その環境を取り巻く事故の加害者(直接的[車で引いちゃった])の純粋な女の子や、古田新太の下で働く弟子などそれぞれの気持ちの変化を描いていた。

古田新太は頑固親父すぎて事故前は人の気持ちなんか分かりゃしないが、そこから徐々に人の気持ち、何より娘の想いを理解しようと努める。
松坂桃李は誠実な青年店長でありながらも事件の加害者となってしまったことに責任を感じてどんどん自分が壊れて分からなくなってしまう。

そしてラストも2人がそれぞれを分かり合えるようになっておしまいチャンチャン!なんていう浅いラストじゃなくてお互いがお互いの気持ちを一歩分かったかな?と思わせる程度のビターエンドでラストを迎え、簡単にはいかない事故の当事者たちの葛藤が伝わった。

ビターエンドのとこをもうちょい詳しく書くと、古田新太は頑固でありながらも娘の描いた絵や娘の本当の姿を周囲から聞くようになりもう少し娘に耳を傾けようと桃李に比べて少し前を向いている感じ。
一方の桃李はスーパーを閉店することになり交通整理をしてる最中にトラックの運ちゃんからあのスーパーの弁当が美味かったからまた弁当屋でも開いてくれと言われて、何もかもが苦しくなると言ってた中で、唯一の救い(味方)、希望の光を見出した感じで涙している。

ps.ロケ地には蒲郡がよく使われそこも楽しめた!!
ドアラ

ドアラ