信頼する吉田恵輔監督でこのテーマで、この俳優陣でって、期待しないはずがない。
ドキドキしながら始まるオープニングのシーンから、美しい映像に目を奪われる。
そこからの、現実。
誰が悪いという簡単なものではなく、立場によって悪は変わり、目に見えない悪意も潜む。
善意でさえも他者の苦しみに変わりうるものであり、善とは悪とは、正とは誤とは、を訴えかけられるような。
終始弱々しくも笑もがく松坂桃李くん、鬼気迫る古田新太さん、女子学生の理解者田畑智子さん、慈善活動に勤む寺島しのぶさんのハマりっぷりは元より、故意なく女子学生を轢いてしまう女性の母親を演じた片岡礼子さんの、抑えきれず漏れ出た激情が素晴らしかった。
ちょっとしたエピソードの数々が、人物たちの心情や様々な問題を映し出していて秀逸。
そしてあのラスト。
吉田監督といえば、容赦なく徹底的にエグり通してくると思ってはいた中で、意外なラスト。
でもこのラストが、本ストーリーには適切だと思った。
般若顔古田新太の、ラストの表情の落差は、さすが。
まぁ、その代償があまりにも大きすぎるけれども。
奥野瑛太くん、美味しい役どころだったなぁ笑。
やっと初めましての話題の人、藤原季節くんもますます人気出そうな役。
どんな善人でもともすれば簡単に悪に転じてしまう。
不幸に見舞われた場合は、特に。
どうか優しさに満ちた世界が訪れますように。
