1人の死から登場人物たちの精神が連鎖的に壊れていく。人物の多面的な描写が印象的だった。
凝り固まった自分のコミュニケーションの型を壊していく。（壊さないとやりきれない）
そして広げていく話。
あらゆるコミュニケーションの形が出てくるが、それぞれが追い詰められていく極限の状態だからこそ、その脆さを目の当たりにする。
案外、ストレートで曇りない肯定が人生を支えている。
でも亡くなった後にどれだけ寄り添っても遅いんだよな、それは自分の心を軽くすることでしかない、納得して自分が生きていく為の懺悔。
自分のコミュニケーションの型に相手を押し込まず、ひとりひとりをしっかりと見る。人間は複雑でまとめられない事実を念頭に置いておけ。
メディアが被害者を追い詰める加害者にもなる。メディアとは、ネットとはそういうもんだと割り切れない。1人1人の背景を想像する努力を惜しむな。その背景こそが人の余白、空白。
考えることが湧いてくる良い作品だった。
